記録的大雨に見舞われた7月25日夜に住民の救助に向かった山形県警新庄署員のパトカーが流され、警察官2人が死亡した事案を巡り、山形県警は7日、警察署員と機動隊員が県内で計1389人いるのに対し、使用できるライフジャケット(救命胴衣)が678着だったことを明らかにした。
県警によると、当時は新庄署で、約70人態勢で災害対応に当たっていた。2人は25日午後8時頃にパトカーで新庄署を出発し、大蔵村などの被害状況の確認を担当していたが、一般男性からの救助要請を受け、新庄市本合海の現場に向かった。同署にあるライフジャケットは28着で、2人は持っていなかった。
26日午前0時5分頃、2人にライフジャケットを届けようと、新庄署員1人が約10着を持って現場に向かったが、土砂崩れの影響でたどり着けなかったという。
内規では、津波警報や大津波警報の発表時に現場に向かう警察官がライフジャケットを装着することを定めているが、常に車両に搭載するような規定はなかった。ライフジャケットは沿岸の署に多く配置されたという。
鈴木邦夫本部長は7日、県議会の臨時の議会運営委員会に出席し、ライフジャケットについて「補正予算で(購入費を)要求することも検討したい」と述べた。県議からは「装備がないのに行かせるなんて、死んでこいと言ったと思われても仕方ない。対応を切にお願いする」との声も上がった。