東京駅閑散、観光地の旅館はキャンセル…お盆直撃の台風7号、首都圏など厳戒

非常に強い台風7号が16日、関東や東北に接近した。鉄道は相次いで運休となり、観光地では旅館やホテルのキャンセルも相次いだ。ホームセンターで防災グッズを購入するなど、人々は雨風への備えを急いだ。
交通まひ
東海道新幹線は東京―名古屋間の終日運休を事前に決定し、JR東京駅では改札を一部閉鎖。普段より人通りが少ない構内では、スーツケースを持った多くの外国人観光客が困った表情で掲示板を見つめたり、駅員が利用客を案内したりする姿が目立った。
新幹線切符の払い戻しに来ていた福岡県春日市の会社員、石橋史章さん(48)は、都内に帰省中だった。16日の新幹線を予約し自宅に戻る予定だったが、運休を知って延泊を決めたという。「なんとか新幹線が取れたのでよかった。台風は仕方がないですね」と話した。
観光で訪れていた富山市の大学生、生田七々佳さん(19)は「夜行バスで大阪に向かう予定だったが、突然運休が決まり、どうしようか考えている」と、肩を落とした。
地震に続き
お盆の観光シーズンとあり、宿泊施設への影響も広がった。
千葉県鴨川市の旅館「江澤館」は、16日の営業を取りやめた。前後の日程も併せたキャンセルは全部で20件ほど。女将の江澤栄子さんは「蓄電の設備がないので、停電するとどうしようもない。かき入れ時なので困る」とうなだれた。
同県館山市の「館山リゾートホテル」でもキャンセルが相次ぎ、稼働率は約120部屋のうち半分程度に。宿泊客への影響を最小限にするため飲料やブルーシートを買い足すなど準備をしているという。
同県南房総市のある旅館では、台風の危険を考慮し直前の予約取り消しでもキャンセル料を取らない臨時措置を取り、8つある部屋はほとんどがキャンセルに。15日まで呼びかけられた南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」に関連したキャンセルも複数あったといい、連日の営業への打撃に女将は「夏の稼ぎ時に厳しい」と沈んだ声で話した。
備え急ぐ
東京都内でも慌ただしさが目立ち始めた。荒川区内にあるホームセンターの担当者は「土嚢袋や中に入れる砂、長靴、それから実際に浸水被害が発生した場合に備えて、片付けに必要な手袋の売り上げがかなり増えている」と話す。
大雨だけでなく、暴風への注意も呼びかけられた今回の台風7号。屋根が飛ばされた際の応急処置に用いるブルーシートや窓ガラスの飛散を防ぐのに必要な養生テープ、「プラダン」と呼ばれる段ボールの構造を持ったプラスチック製の緩衝材などを買い求める人々も多く「在庫が安定しない状態」(担当者)だという。(宇都木渉、梶原龍、山本玲)

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