「数学のノーベル賞」を柏原正樹・京大特任教授が日本人初受賞…アカデミー「真の数学の先見者だ」

ノルウェー科学文学アカデミーは26日、「数学のノーベル賞」とも呼ばれる国際数学賞「アーベル賞」に、京都大数理解析研究所の柏原正樹・特任教授(78)を選んだと発表した。同賞は、ノーベル賞が数学分野を対象としていないことから、ノルウェー政府が2002年に創設。日本人の受賞は初めてとなる。
柏原さんは代数解析学の要となる「D加群」の基礎理論を構築し、この分野の発展に貢献した。代数に興味を持ったのは、10歳の頃、算数の授業でつるかめ算を学んだのがきっかけ。つるかめ算は、ツルとカメの合計数と足の合計数からツルとカメそれぞれの頭数を導き出す計算法だ。発表後に配信された動画で、柏原さんは「50年以上前の研究が評価されてうれしい。まったく予想しておらず、とても驚いている」と喜んだ様子を見せた。
同アカデミーは「新しい数学の分野への扉を開いた。真の数学の先見者だ」とたたえた。授賞式は5月20日に首都オスロで開かれ、賞金は750万ノルウェー・クローネ(約1億円)。
柏原さんは茨城県結城市生まれ。1971年に東京大大学院修士課程を修了し、京大助手や名古屋大助教授などを経て現職。2018年に京都賞を受賞している。
国際数学連合が4年に1度選ぶフィールズ賞も数学界のノーベル賞と評されるが、対象は40歳以下の若手に限られる。アーベル賞は19世紀のノルウェーの天才数学者の名にちなんで創設され、年齢制限はない。

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