日本の企業が開発した新型コロナウイルス感染症のワクチン(以下、新型コロナワクチン)が8月2日、初めて承認された。新型コロナが中国で初めて確認された2019年12月から3年7カ月かかって、ようやく登場した国産ワクチンだ。9月20日には新型コロナワクチンの秋接種もスタートする。
【表】新型コロナ、感染症法「5類化」によって変わったこと
主流はオミクロン株「XBB」
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5月から季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行して以降、人々の関心も薄れつつあるが、感染は収まっていないのが実情だ。
現在の流行の主流はオミクロン株の派生型「XBB」という。最新のワクチン事情やコロナの現状、その対応策を報告する。
厚労省は8月25日、全国に約5000ある定点医療機関から8月14~20日に報告された新型コロナの新規感染者数は、1つの医療機関あたり平均17.84人だったと発表した。前週(14.16人)の1.26倍で、増加傾向が続いている。
9月20日からは、現在流行の主流となっているオミクロン株派生型である「XBB」に対応したワクチンを使った秋接種が始まる。
対象者は生後6カ月以上の接種可能なすべての人となっているが、厚労省は高齢者や妊娠後期の女性、持病(慢性腎臓病、糖尿病、高血圧など)がある人といった、重症化リスクを持つ人以外には、接種を積極的には呼びかけない方針を決めている。
接種費用は、現在は国が全額負担しているが、2024年4月からは自治体などが負担するため、原則として一部自己負担になる見込み。
これについて、新型コロナが広がり始めた2020年1月末に発熱外来を設け、発熱患者やコロナ患者を診てきた谷口医院(旧太融寺町谷口医院・大阪市北区)の谷口恭院長は「個人的には重症化リスクのある人には、2024年4月以降も無料で供給してほしい」と訴えている。
国産ワクチン承認されるも使えず
さて、8月2日に国産の新型コロナワクチンとして初めて承認されたのは、第一三共(東京)が開発した「ダイチロナ」。これまで使われていたアメリカ・ファイザー製や、アメリカ・モデルナ製と同じく、ウイルスの遺伝情報の一部を使った「メッセンジャー(m)RNAワクチン」だ。
国内で行われた臨床試験でファイザーやモデルナ製のワクチンと同程度の有効性と安全性が確認され、今年1月に厚労省に承認を申請していた。冷蔵(2~8℃)での流通・保管が可能となるため、医療現場での利便性の向上が期待されている。