肋骨わかるほど痩せた状態…「特別柵で保護するシカ」愛護会が虐待疑惑 市が調査実施

奈良公園に生息する鹿の保護活動に取り組む団体について、「エサを与えない」などの虐待が行われているとする内部通報が奈良市に寄せられていたことがわかりました。奈良市は10月3日午後に現地調査を行いました。 10月3日午後2時、奈良市保健所の職員や獣医師たちが「奈良の鹿愛護会」の保護施設に調査に入りました。 (MBS前田春香アナウンサー)「奈良市の職員が特別柵の中にいるシカの様子を撮影しています」 この特別柵では、人に危害を加えたり農作物に被害を出したりしたシカが保護されていますが、調査の発端となったのは特別柵の飼育環境をめぐる獣医師からの通報でした。 獣医師の丸子理恵さん提供の写真では、肋骨がくっきりとわかるほど痩せているシカ。ところどころ毛が薄くなっているシカの姿も確認できます。これらは特別柵で保護されているシカたち。撮影した「奈良の鹿愛護会」所属の獣医師・丸子理恵さんは次のように話しました。 (奈良の鹿愛護会 丸子理恵獣医師 10月2日)「明らかにエサが足りていないし、飼育環境も劣悪だったので」 丸子さんによりますと、愛護会が十分なエサを与えないことで、7割以上の雄のシカが飢餓状態に。年間50頭以上の雄のシカが死んでいるといいます。丸子さんはこれが虐待にあたるとして、今年9月に改善策を求める通報書を奈良市に提出しました。 (奈良の鹿愛護会 丸子理恵獣医師 10月2日)「(愛護会が)飼育環境を改善してくれたら私も通報することはなかったと思うのですが、それがもう無理だなと。見て見ぬふりはできないかなと思って通報することにしました」 一方、愛護会側は「エサの予算は確保していて不足していることはない」などとして、「虐待行為にはあたらない」と反論しています。しかし、元々は野生で暮らしていたシカで、保護の難しさは常にあるといいます。 (奈良の鹿愛護会 山崎伸幸事務局長 10月2日)「当会はシカを愛する職員の集まりでやっていますので、シカを大切に保護活動をしております。今回の問題は野生動物に対して人がどれだけ介入するかということかなと」 MBSに残る今から約90年前の奈良公園の映像。古くから春日大社の「神鹿」として手厚く保護されてきた奈良のシカ。一時は戦争の影響で頭数がわずか79頭になりましたが、1957年に奈良のシカが国の天然記念物に指定され、鹿愛護会などの保護活動により今では1200頭前後が生息しているといいます。 そんな中で起きた今回の問題について、観光客や街の人はどう捉えているのでしょうか。 (東京からの観光客)「悲しいですね。かわいいですもんね、シカ。体が弱いシカたちなのでもっと大事にしてあげてほしいなと思います」 (地元住民)「自分は畑をしていてシカにやられて悔しかったけど…」 (地元住民)「シカも生きていかないといけないもんね。お互いさまというか」 地元の人たちに親しまれ奈良の観光をも支える奈良のシカ。保護施設の運営を鹿愛護会に委託する奈良県の山下真知事は次のように話しました。 (奈良県 山下真知事 10月2日)「管理許可条件に違反するようなことがあれば管理許可の取り消しも考えていかなければならない」

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