電話の自動音声ガイダンスでメッセージを流す手口の特殊詐欺が兵庫県内で急増している。「電気協会」をかたり、電気料金が未納で停止すると伝えて詐欺グループに誘導するという。連日の猛暑で電気が止められることを気にして焦って詐欺に遭うケースもみられるといい、県警は「詐欺なのですぐに切ってほしい」と注意を呼びかけている。
県警生活安全企画課によると、電気協会を名乗る詐欺被害が県内で初めて確認された7月17日から8月30日までの間で、同様の手口による電話が約210件確認された。
主な手口は、固定電話などに電気協会を名乗る着信があり、女性の声で「電気料金が未納で、2時間後に電気が使えなくなります。次のステップに進むには1を押してください」などと案内される。ボタンを押すと「料金が未納なので警察につなぐ」と告げられ、別の警察を名乗る人物から「あなたの名義が暴力団に貸されている」「通帳とキャッシュカードを預かるので自宅のポストに入れて」と指示されるという。
こうした手口により、8月中旬に神戸市東灘区の女性(90)が通帳とカードそれぞれ4枚を、下旬に芦屋市の女性(86)が通帳3通とカード2枚をだまし取られた。
県警の担当者は「連日の猛暑で電気が止められると考えると焦ってしまったり、音声ガイダンスは比較的珍しく、高齢者は詐欺だと気付きにくかったりする」といい、危機感を強めている。【澤俊太郎】