小池マジック不発!? 小池百合子東京都知事が9日の「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)に出演した。小池氏の仕事ぶりや東京都の施策を紹介するなどの内容に「こんなにユーモアのある人だったんだ」と高評価もあれば、「気持ち悪い番組」と批判もチラホラ。現役の都議会議員は「タイミングが最悪だった」と指摘した。
番組では小池氏を先生として招いて、「小池百合子東京都知事が初授業! 世界に誇る! スゴい東京SP」と題して東京を大特集した。
小池氏はタレントの石原良純に向かって、「都庁の職員もパパには鍛えられています」と関係のよくなかった父・慎太郎元都知事を引き合いに出してジャブを放ったかと思えば、元ニュースキャスターの経験を生かして、クイズを出題する仕切り側に回るなど久しぶりのバラエティー番組を上々に乗り切った。
また、番組では「世界で一番忙しい人!? 東京都知事のお仕事」と小池氏の仕事ぶりを特集。待機児童を減らしたことや、就任時から給与を半減していることを紹介した。さらに、タレントのフワちゃんが小池氏に突撃インタビューを行い、「こどもスマイルムーブメントって何ですか」と都の施策を聞くコーナーもあった。
ほかにも小池氏が力を入れる無電柱化や液体ミルクの話が出るなど、まさに小池特集。SNSで「ほんの一部だけど、仕事のことも知れてよかった」という好意的な意見もある一方で、「都知事の自慢話を報道しているだけの番組」「イメージアップを図るの看過できない」と批判も寄せられていた。
小池氏にとってはバラエティー番組出演を通じて、ニュース報道とは違う自身の側面を視聴者に見てもらいたかったはずだ。というのも最近は東京・神宮外苑再開発の件で小池氏はバッシングに遭っていた。3月には音楽家の坂本龍一さんの再開発に反対する手紙に対してまともに取り合わなかったことで批判が殺到していた。
しかし必ずしも番組出演は成功とは言い切れないようだ。東京都議会議員で「自由を守る会」の上田令子代表は今回の番組出演について「小池氏にとって放送がこのタイミングになったことは想定外でしょう」と指摘。 どういうことか。実は番組放送前の7日、外苑再開発を巡って、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が神宮外苑の文化的資産が危機に瀕しているとして、緊急要請「ヘリテージ・アラート」を出していた。都に対しても環境アセスメントの再審などを要請。8日には小池氏が記者会見で「アセスは条例・答申に従って適切に手続きを進めている」と反論した。
まるでジャニーズ問題のように外圧が明らかになった直後のバラエティー番組出演、つまり、ネガティブなニュースの直後という批判されやすいタイミングになってしまったわけだ。
上田氏は「小池氏の政治的カンが鈍っているのではないか。悪役イメージ払拭のための都知事礼賛番組になっていたが、『お前が何を言うか』という感じ」と、バラエティー番組に出て笑っている場合なのかという印象が残ったという。次の都知事選は来年7月。果たして小池氏の次の一手は?