政府は29日、臨時国会を10月20日に召集する方針を自民、公明両党に伝えた。岸田文雄首相は、同月末にまとめる経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算案を、同国会に提出する意向を表明。ただ、会期中の衆院解散・総選挙の観測はなおくすぶっており、首相の判断が焦点となりそうだ。
首相は、首相官邸で記者団に「対策の策定後、速やかに補正編成に入り、臨時国会に提出したい」と強調。解散に関しては「先送りできない課題に一意専心に取り組む。それ以外のことは今、考えていない」と述べるにとどめた。
これに先立ち、首相は公明党の山口那津男代表と首相官邸で会談。山口氏は記者団に、解散の議論はなかったとしつつ、「首相が決断したら与党として対応できるように準備を進めたい」と語った。
自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、松野博一官房長官とも会談。出席者によると、召集後の日程について意見交換したという。
臨時国会は内閣改造後、初の本格論戦の舞台となる。与党は20日に首相の所信表明演説、翌週の23日から各党代表質問を行う方向で、野党と調整する考えだ。会期については、12月中旬ごろまでとする案が出ている。
政府は、国家公務員の給与法改正案など約10本の法案提出を予定している。子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する「日本版DBS」創設法案の提出は見送る構えだ。
野党側はこれまで、臨時国会の早期召集を与党側に申し入れていた。立憲民主党の泉健太代表は29日の記者会見で「国民生活が最優先だ」と強調。物価高への対応や消費税のインボイス(適格請求書)制度、受託収賄罪などで起訴された衆院議員の秋本真利被告(自民党を離党)の問題などで、政権を追及する考えを示した。
[時事通信社]