日大アメリカンフットボール部の現役部員2人が、薬物使用事件で逮捕され、内部調査の結果、約20人が大麻使用を認めていたことが発覚。部内の薬物蔓延が指摘され、アメフト部自体の存続が危ぶまれる中、林真理子理事長と、澤田康広副学長の間で「内輪もめ」が勃発していることが判明した。
「時事ドットコム」が18日、澤田氏の代理人から提供された録音データを基に2人のやりとりを伝えた。
2人の面会は9月4日に行われた。林氏は、澤田氏が学生寮から押収した「植物片」を警察に届けずに、大学構内で保管していた「空白の12日間」について、澤田氏が「警視庁から事情聴取を受ける」という情報を聞きつけ、第三者委員会の結論を前に辞任を迫っていた。
■責任のなすりつけ合い
林氏<今、補助金不交付の可能性が非常に高い。もし、先生が役員のまま、事情聴取を受けたとマスコミに出ると、恐らく不交付じゃないかというのが、みんなの見立てなんですけれども>
澤田氏<補助金をもらうために私に辞めろということですか>
林氏<補助金もありますし、社会的にも許されないじゃないですか。私も本当に社会的制裁を受けて仕事も非常にキャンセルされてますし、講演会も延期とか言われたりしている。なぜかというと、隠蔽したことに私も手を貸している(と言われている)。あの大学の理事長ということで、すごく悪い印象を受けている。第三者委の後、私も学長も何らかの処分を受けると思います>
澤田氏<ですからなぜ、私だけ第三者委の処分の前ということになるのでしょうか>
林氏<第三者委の前に私たちでできる限りのことはしたと示さなきゃいけない>
澤田氏<理事長、学長は第三者委の前に示さなくていいのか>
林氏<私はそう思いますけど>
そんなことをしている場合か
まさに「責任」のなすりつけ合いだが、林氏は8月8日に行われた会見で、澤田氏の「空白の12日間」について、報道陣から「対応は適切だったと考えているのか」と問われ、「はい、考えております」と答えていた。
長年、日大アメフト部を取材してきたスポーツライターの津田俊樹氏が「酷い話ですね。2人とも大学や学生のことは二の次で、自分の保身しか考えていない」と、こう続ける。
「本来なら迅速に事実関係を明らかにして、失った信頼を回復すべき立場の2人が、ますますイメージを悪化させるようなことを裏でコソコソやっていた。これでは組織として成り立ちません。副学長は元検事ですが、もしもの時のために会話を録音していたのでしょう。一方、理事長も大学トップとして見識が疑われるような発言を繰り返しています。こんなやりとりが公になったら、大変な事態になることが分かっていない。理事長と副学長がするような会話ではありません。田中英寿理事長時代と体質は何も変わっていません。最大の被害者は学生です」
自己保身と交付金欲しさのために内輪もめをしている場合ではない。