36人が死亡した2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などで起訴された青葉真司被告の裁判員裁判の初公判が5日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で行われ、正午からの休憩明けは、京アニ社員の被害状況などが検察側から説明された。
車いすに座る青葉被告の目の前にはモニターが設置され、放火された京都市伏見区の第1スタジオの事件前・事件後の外観写真が映し出された。その後、放火で亡くなった社員36人が事件当時、どのデスクで何の作業を行っていたかの詳細や、重軽傷を負った32人の社員が、現在どんな辛い状況にいるかなどが詳しく説明され、青葉被告はモニターを凝視し、言葉に耳を傾けた。
検察側は、京アニのマネジャー室に勤務していた女性が事件当時を振り返る供述を朗読。女性は「窓が開いていたので逃げたが、服が燃えていることに気付き、頭も燃えていて、体中に痛みを感じた。全身の肌が出た状態でいたら、同僚の『目が見えない。誰かいますか』との声が聞こえ、2人でいるところに救急隊が来てくれた」などと話したという。事件は2019年7月18日に起きたが、女性は救命された最中に失神し、意識が回復したのは9月下旬。全身やけどのため、25回の皮膚移植手術を受けたという。
検察側はまた、救命活動にあたった消防士の「35年以上の任務で、これほど凄惨(せいさん)な現場は初めて」との供述も読み上げた。