「何度も誘われ…、吸うとリラックス」過去の大麻歴も“自白”した早稲田大学元相撲部の学生(20)に懲役10か月、執行猶予3年の判決…大麻を譲り受けようとした罪

早稲田大学相撲部に所属していた学生に対し、福岡地裁は30日、大麻を譲り受けようとした事実を認定し、執行猶予の付いた有罪判決を言い渡した。これまでの審理で元相撲部の学生は「過去には大麻を譲り受け、大学の後輩とともに使ったことがある」とも自白。検察側は懲役10か月を求刑していた。
◆事件を受けて相撲部は活動停止になっている
判決を受けたのは、早稲田大学の学生・園田陽司被告(20)。当時は相撲部に所属しており、事件を受けて退部した。園田被告が逮捕された去年11月14日以降、相撲部そのものも活動停止となっている。福岡地裁の志田健太郎裁判官は、大麻を郵送するよう依頼し、譲り受けようとした事実を認定。
▽自ら使用するだけでなく、後輩に分け与え、一緒に使用することを繰り返していた
▽未遂ではあるものの害悪を拡散させるおそれがある
▽大麻との親和性が高く、刑事責任は軽くない
▽大学などを巻き込んでいる
▽社会的責任に関して十分に思いに至っているとは言い難いが、法廷で改めて考える姿勢をみせていた
このように理由を説明した上で、懲役10か月、執行猶予3年の判決を言い渡した。その後、「今回の件は大きな挫折になると思います。まだ人生は長く続きます。悪い関係を断って、立派に更生してください」と説諭した。
園田被告に大麻を譲り渡そうとした高校時代の先輩に対しては、先立って懲役1年、執行猶予3年の判決が言い渡されていた。
◆裁判官に対して大きくはっきり「はい」などと受け答え
判決を含むこれまでの2回の審理に、上下黒のジャージ姿で現れた園田被告。裁判官の問いかけひとつひとつに対し、大きく、そしてはっきりした声で「はい」などと答えていた。
園田被告は去年7月、高校時代の相撲部の先輩に大麻を含む植物片1.568グラムを郵送するよう依頼し、譲り受けようとしたとして、大麻取締法違反の罪で起訴された。郵送される前に押収され、未遂に終わっている。初公判に臨んだ園田被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。検察側は冒頭陳述で「おととし12月ごろ、高校時代の同じ部活の先輩から勧められるなどして大麻の使用を開始し、以後、無償で直接または郵送で入手し使用し続けた」と主張した。
◆「何度も誘われ吸ってしまった」部活の後輩にも分け与えた?
審理が進むと、罪に問われていないことを“自白”する一幕もあった。被告人質問で園田被告は「先輩には怖くて吸わないと言ったが、何度も誘われて吸ってしまった」「吸ってみてリラックスした感じで、悪い面を見ずに良い面を見ていた」などと述べ、過去の大麻の使用歴を認めた。さらに、検察官に「後輩と吸っていたのか」と問われると、「はい」と答え、「自分の部屋(大学寮の自室)にきた後輩が『それ何ですか?』『吸ってみたい』と言われた」と当時の状況を説明した。検察側は「部活の後輩や学部の友人に分け与えるなどして、害悪を学生間で拡散させた」「常習性が認められ、大学内で大麻をさらに拡散させる危険性の高い行為」と批難し、懲役10か月を求刑。一方、弁護側は「罪を認め反省し、二度としないと宣言している。譲り渡した高校の先輩とも関係を絶つとしている」と主張し、執行猶予付きの判決を求めていた。
◆早稲田大学は「判決を厳粛に受け止め、深くお詫び」
大学体育部での“薬物汚染”が社会問題化する渦中で発覚した園田被告の事件。早稲田大学は相撲部を中心に聞き取り調査を行ったものの、大麻を所持したり使ったりした部員は確認できなかったと発表している。公判中の園田被告の「後輩にも渡した」という発言を受けて、ほかの運動部にも範囲を広げ、現在も調査を継続しているという。
同大は有罪判決を受けて次のようにコメントした(要旨)
「大麻の事案に対して国を挙げて撲滅に取り組んでいる中、慙愧に堪えません。大学としてこの判決を厳粛に受け止め、深くお詫び申し上げます。当該事案に関しては、予見可能であったか否か、並びに知っていて対策をしなかったなどの不作為があったか否かを判断基準とした上で、厳正に対処してまいります」

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