ワクチン対応のはずが…パソナの再委託先、業務時間中に健康食品や化粧品の電話対応も

人材派遣大手「パソナ」(東京)が、新型コロナウイルスワクチンのコールセンター業務を巡り、大阪府と兵庫県の計3市に約10億円を過大請求していた問題で、再委託先の「エテル」(大阪市中央区)のオペレーターらが業務時間内に並行してワクチン以外の電話に応対していたことがわかった。コールセンターで勤務していた女性が実態を読売新聞に証言した。パソナも調査で事案を把握しており、3市への返金対象に含めたという。
パソナは大阪府枚方市、吹田市、兵庫県西宮市からワクチン接種の予約や相談を受け付ける業務を受注。再委託先のエテルは2021年3月~22年12月、契約で定められたオペレーターの人数を確保していなかったのに、水増ししてパソナに虚偽報告した。
これを受け、3市に委託料10億8000万円を過大請求していたパソナは全額を返還した。
女性がワクチン接種関連の業務に従事したコールセンターは福岡市内のビルにあり、オペレーターの座席は100席ほどあった。女性によると、時期によっては空席が目立ったほか、4分の1ほどは高麗ニンジンなどの健康食品や化粧品の電話対応にあたっていた。
人手が不足したとみられる時期には、ワクチン関連業務を担当していたオペレーターがこうした別業務の対応にあたっていた。
女性はエテルの指示で、旅行情報サイト関連の電話に応対していたと証言し、「契約を切られるかもしれないと思って、おかしいと言えなかった」と釈明。「ワクチン接種を希望している人を助ける仕事だと思っていたが、実態は違った。税金を使っている以上、実態を明らかにしてほしい」とエテルに求めている。
パソナは読売新聞の取材に「調査の結果、エテル側の指示で、(コールセンターで)ワクチン関連以外の業務が行われていたと認識している。エテル側の管理台帳で、ワクチン業務以外の記録がある勤務時間などを返金対象とした」と回答。
一方、エテルは「そのような事実は確認していない」とコメントした。

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