処理水、海水で薄める準備作業開始 24日午前の結果受け放出へ

東京電力は福島第1原発にたまる処理水の海洋放出を、天候や海の条件に問題がなければ24日に始める。放出完了までには30~40年かかるとされる。東電や環境省などは周辺海域でモニタリングを実施し、水質に異常がないか監視する。
東電は放出に先立ち、約1トンの処理水を約1200トンの海水で薄める準備作業を始めた。トリチウム濃度が国の基準値の40分の1未満になっていることを確認する。24日午前に結果が出る見通しで、それを受けて午後にも放出を始める。
東電によると、2023年度はタンク約30基分に相当する約3万1200トン、約5兆ベクレル分のトリチウムを、4回に分けて放出する。これは福島第1原発の年間放出量の上限(22兆ベクレル)の約4分の1で、東電は「慎重に少量での放出から始める」としている。
一方、処理水の元になる汚染水は日々発生しており、23年度に空くタンクは10基程度の見込みだ。
福島第1原発の敷地内には1000基以上のタンクがあり、容量の98%にあたる約134万トンの処理水がたまっている。放出に伴って空くスペースは今後、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出しなどの廃炉作業に活用する。
政府は21年4月、2年後をめどに処理水を海洋放出する方針を決定。海洋放出が「国際的な安全基準に合致している」と評価した今年7月の国際原子力機関(IAEA)の包括報告書なども踏まえ、8月22日の関係閣僚会議で、放出日を24日とすることを決定した。【高橋由衣】

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