「家賃の安い団地に親を置き去りに…まるで姥捨て山」“庶民の憧れ”だった団地の悲惨な現状

「認知症老人が公園占拠」「ボヤ騒ぎが多発」――。限界を迎えた高齢化で外国人も逃げていく!建物の老朽化や外国人住民との摩擦が取り沙汰されてきた団地。そんな「限界住宅」がさらなるカオスを迎えている。少子高齢化のあおりを受け、限界を超えた団地の実態とは――? ◆団地の住人の多くが後期高齢者 「隣のおじいさんが孤独死して。次は私かもしれないわね」 「ここはもう、姥捨て山だ」 「70歳超えていじめだなんて、子どもじみてる……」 高度成長期の住宅需要に応えるため、1950年代中ごろから大都市郊外を中心に数多く建設された団地。当時最新のコンクリート造りで、時代の最先端を行く「庶民の憧れ」だった。そんな団地がいま直面しているのが、住民の高齢化だ。冒頭で触れた声は、いずれも団地住民やその近隣に住む人たちの生の声だ。 国土交通省が2018年に公表した団地の将来高齢化率推計では、建設から40年以上たった団地の高齢化率(65歳以上)は現在すでに30%超。’35年には40%を超えるという。 住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「この20年で、団地の高齢化は最大の社会問題になり得る」と警鐘を鳴らす。 ◆ボロボロでも建て替えが進まない理由とは 「いま、団地の住人の多くが後期高齢者となった団塊の世代。子どもたちは巣立ち、配偶者も亡くしてひとり暮らしをしている人も少なくありません。また、一般に鉄筋コンクリート造りの耐用年数は60年といわれています。経年劣化で中の鉄が錆びて膨張し、周りのコンクリートはボロボロと崩れる。大変危険です」 にもかかわらず、団地の建て替えが進まない要因に区分所有法の存在がある。 「区分所有者の5分の4以上かつ議決権の5分の4以上の賛成がなければ、建物を取り壊すことができません。制定当時は60年後のことなど想定していなかったのでしょう」 また、空き家問題に詳しい住宅・土地アナリストの米山秀隆氏は、こう指摘する。 「高齢化によってそもそも管理組合が機能しておらず、建て替えや解体の決断ができないケースもあります。であれば、団地の修繕が別途必要になりますが、そうした管理組合の多くは修繕積立金を十分に確保できていないのです」 ◆「詐欺師すら近寄らない」限界団地の最終形 住民と住居の2つの老い。まさに限界を迎えつつある団地のリアルを確かめるべく、実際に団地に足を運ぶことにした。 「帰ってきたのかい」 神奈川県平塚市にある団地に足を運ぶと、老婦人にそう声をかけられた。どうやら息子と間違えられたらしい。

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