水産物禁輸に与野党、中国非難相次ぐ「一方的で腹立たしい」…経済への影響「非常に大きい」

東京電力福島第一原子力発電所の処理水の海洋放出を受け、中国税関当局が日本産水産物の全面輸入停止を発表したことに対し、与野党からは24日、強い非難が相次いだ。被害が大きくなることが予想されることから、政府に幅広い支援を求める声も上がった。
「非常に腹立たしいのは、全く科学的根拠なしに一方的な対応をとるということだ。外務省を通じてしっかり抗議したい」
自民党の小野寺五典・元防衛相は党本部で記者団にこう述べ、中国への強い不信感をあらわにした。
同党は同日午後、党本部で「東日本大震災復興加速化本部」(本部長・額賀福志郎元財務相)の総会を開き、政府から処理水の放出状況などの説明を受けた。会合中、中国の禁輸措置が伝わり、出席者からは「いわれのない規制には撤廃を働きかけていくべきだ」などの声が上がった。
経済的な被害への懸念も広がっている。福島県出身の佐藤正久・元外務副大臣は取材に対し、「政府は中国の措置がいかに異常か国際社会に訴える必要がある」と強調した上で、「影響は非常に大きい」と指摘した。
農林水産省によると、2022年の日本の水産物輸出額は対中国が最多で、与党内では今回の輸入規制は風評被害にとどまらないとの認識が強まっている。政府は風評被害対策に計800億円の基金を設けているが、経済産業省によると対象は水産物限定だ。規制は今後、農産物などにも拡大する可能性があることから、「水産物以外の被害にも政府は対応すべきだ」(自民ベテラン)との声が上がっている。
28日から中国を訪問予定の公明党の山口代表は24日、岸田首相と首相官邸で会談した。会談後、記者団に「中国側の理解を求めて丁寧に説明を尽くしていくことに尽きる」との考えを示した。その上で、首相から 習近平 国家主席宛ての親書を用意すると告げられたと明かし、「誠意を尽くしてお話しする準備をして臨んでいきたい」と語った。
野党も一斉に中国を批判した。立憲民主党の泉代表は「全く冷静さを欠いた措置だ。輸入全面停止の撤回を求める」と語った。日本維新の会の音喜多政調会長は「非科学的な嫌がらせだ。政府は各国も同様に処理水を海洋放出していると積極的に発信すべきだ」と要求した。
国民民主党の玉木代表は「中国では経済の減速が強まっている。今回の禁輸は、そうした国内情勢から国民の目をそらす政治的意図が見え隠れする」と分析した。

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