岸田文雄内閣の支持率が低迷している=別表。毎日新聞の最新世論調査では、前回比2ポイント減の26%で、30%以下の「危険水域」のまま。さらに自民党支持率(25%)との合計は51%となり、50%を切ると政権維持が難しくなる、いわゆる「青木の法則(青木率)」でも崖っぷちに立たされた。岸田首相は局面を打開できるのか。
毎日調査では、支持率は5月の広島G7(先進7カ国)サミット前後に45%まで上昇したが、6月から急下降し、3カ月で19ポイント下落した。
各メディアは、マイナンバートラブルが低迷の原因としているが、ガソリン代高騰への無策や、LGBT法の拙速な法制化、自民党議員の問題・疑惑が続出しており、岸田政権への不信が強まっているようだ。
こうしたなか、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出に反発した中国が非科学的な〝狂乱モード〟に突入し、岸田政権に毅然(きぜん)とした対応を求める機運が高まっている。
処理水の海洋放出開始について、日経・テレ東調査では67%が政府判断を「理解できる」とし、読売・日テレ調査でも57%が放出開始を「評価する」と答えた。
今回の内閣支持率をどう見るか。
政治評論家の有馬晴海氏は「国民から見透かされ、見放されつつある。続発する問題に対し、岸田首相は国民が納得する説明をせず焦点をはぐらかす。マイナンバーの問題もそうだが、大上段に記者会見をぶち上げながら、中身がなかった。政治的な信念や戦略がなく、責任を取らない。もはや支持率は上がらず、ジリ貧のまま危険水域を漂い続けるだろう」と分析した。
岸田政権はどこに向かうのか。
有馬氏は「政権に展望は見いだせない。6月に『解散風』を吹かせた末に見送ったことで選挙の好機はついえた。一方、閣内や自民党役員に総裁選のライバルを囲い込み、動きを封じている。どっちつかずのまま『延命』をするしかない状況だ」と語っている。