滋賀県栗東市の産業団地への企業誘致を巡り、元市幹部が地権者と企業との土地売買で地権者側に便宜を図った見返りに地権者から無利子・無担保で融資を受けたとされる贈収賄事件で、収賄容疑で逮捕された市元産業経済部長の内藤寿光容疑者(61)が、住宅ローンなどで金銭に窮し、地権者の代表に融資を求めたという趣旨の供述をしていることが捜査関係者への取材で判明した。
更に内藤容疑者が地権者と造成業者との間で売買価格の交渉を担い、地権者の希望に近い金額で売却されたことも判明。県警は内藤容疑者が地権者に有利になるよう取り計らった見返りに融資を求めたとみて捜査している。
捜査関係者などによると、事件の舞台となった「栗東ニューテクノパーク」内の約10・4ヘクタールの土地について、地権者側は当初1平方メートルあたり約8000円での売却を希望。しかし業者の提示は約半額だった。内藤容疑者は地権者の意向を受けて業者と交渉。同約7700円まで引き上げ、契約にこぎ着けたという。更に贈賄容疑で逮捕された会社役員の大角繁男容疑者(73)ら地権者で作る「六地蔵山管理委員会」に所属しない地権者にも土地を売るように説得し、売却につなげたという。
内藤容疑者は地権者と業者の売買契約が成立した後に大角容疑者に融資を求めたという。【飯塚りりん、菊池真由】