父の暴力に「心が壊れそうだった」 佐賀の両親殺害事件、被告人質問

佐賀県鳥栖市の住宅で3月、両親を殺害したとして殺人罪に問われた元大学生の長男(19)=福岡市=に対する裁判員裁判の被告人質問が4日、佐賀地裁(岡崎忠之裁判長)であった。長男は中学受験を機に父親の暴力や長時間の説教の頻度が増したとし、「心が壊れそうだった」「いつか仕返ししてやると思うようになった」と語った。
弁護側の質問に対し、長男は小学生低学年から父親の暴力があり「足を蹴られたり胸ぐらをつかまれたり、たたかれたこともあった」と語った。小学5年で中学受験のため塾に通い出すと「説教が1~2時間と長くなった。説教の時は床で正座して聞いていた」と述べた。
長時間の説教や暴力が精神面に与えた影響を問われると、「心が壊れそうになった」と話した。中学生の頃には「いつか仕返ししてやると考えるようになり、それが支えになった。高校生なって殺してやるという思いに変わった」と話した。
止めに入った母親を刺したことについては「刺せば妨害する力が弱まるとしか考えてなく、死ぬ、死なないまで考えが及ばなかった」と殺意を否認した。
一方、事件前に刑罰について考えたかとの検察側の質問に対し、「実行後の僕の人生は消化試合にしか考えてなかったので刑罰については考えなかった」と述べた。【五十嵐隆浩】

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