奈良県橿原市の4歳女児が暴行を受けて死亡した事件で、同市が事件の約1か月前、母親(28)の交際相手の大阪府門真市、建設作業員山下翔也容疑者(27)(傷害致死容疑で逮捕)による虐待を疑う通報を受けたのに、山下容疑者から聞き取りを行っていなかったことがわかった。橿原市や県高田こども家庭相談センター(児童相談所)は対応について問題がなかったか検証する。
奈良県警によると、山下容疑者は6月18日未明、同市にある母親の自宅などで、田川星華ちゃん(4)の腹部を圧迫する暴行を加え、翌19日に死亡させた疑い。山下容疑者は容疑を否認しているという。
児相などによると、母親と星華ちゃんは2020年9月に同市に転居。翌月に虐待を疑う通報があり、虐待は確認されなかったが、児相や市などの協議会で「要支援児童」と判断し、市が見守りを担当していた。
山下容疑者は今年4月頃から、交際を始めた。5月12日、星華ちゃんを診察した歯科医が「(星華ちゃんから)母親の交際相手に目を突かれたと聞いた」と児相に通告した。
市は17日、母親から事情を聞いたが、母親は「髪を乾かす際に交際相手の手が誤って目にあたった」と説明したため、虐待の兆候がないと判断した。
山下容疑者から聞き取らなかった点について、市は「交際相手は世帯構成員ではないので行わなかった」と説明している。
県警は7日午前、山下容疑者を奈良地検に送検した。