大麻を所持していたとして大麻取締法違反容疑で6月に電撃逮捕された俳優の永山絢斗被告(34)に対し、東京地裁は9月1日、懲役6カ月、執行猶予3年(求刑・懲役6カ月)の有罪判決を言い渡した。
同じ週の月曜(8月28日)に開かれた初公判からのスピード判決で、永山被告の大麻との長い付き合いが明かされた。
「公判では検察側が冒頭陳述で、永山被告の大麻歴が音楽イベントで地元の先輩から誘われた中学2年のころまで遡ると指摘しました。当時はそれ1回で終わったものの、18、19歳ごろに酒の席で吸ったところハマり出し、今に至ったようです」(司法担当記者)
中2で大麻、は相当早熟だ。俳優の永山瑛太の弟でもある永山被告のデビューは18歳。日本アカデミー賞新人俳優賞も受賞するなど順調なキャリアの裏でデビュー前後から大麻を吸っていたことになる。
「永山被告は大麻だけを巻いたものを月1~2本、たばこに大麻を混ぜて巻き直したものは月4~5本吸っていたことも検察側が暴露しました。大麻を焚くと芝生のような独特の香りがしますが、自宅で換気扇を使うことでごまかしていたとか。専門の売人がついていたそうです」(同前)
寺尾亮裁判官から「二度と手を出さないと約束できるか」と聞かれ、「はい、できます」と答えた永山被告。
「また表現の仕事をしたい」と復帰への意欲を語り、事務所側からのサポートも明かされた。一連の事件で大河ドラマ「光る君へ」を降板することになったものの、芸能界復帰は存外早そうだ。
永山被告の事件が格好の反大麻キャンペーンに
胸をなで下ろしているであろう芸能関係者の裏で、警察当局は意気軒昂だ。
捜査関係者が明かす。
「政府は医療用大麻を一部解禁する一方で大麻の使用罪を新設するなど乱用への罰則は強化する大麻取締法改正案を次の国会にも提出する構えです。知名度の高い永山被告の事件は、格好の反大麻キャンペーンにもなった」
警察庁の統計(暫定値)では2023年上半期の大麻取締法違反の検挙人数は2837人で覚醒剤のそれを統計史上、初めて上回るなど、大麻は戦後最大の乱用期に入っている。その7割が20代以下の若者だ。
「海外で続々と解禁され、海外セレブも使用を公言するなど、大麻が不良っぽい若者のファッションとして定着しかねない状況だ。永山被告だけでなく日本大学や東京農大など、大麻事件で学生を続々と逮捕している背景には、若者が覚醒剤などさらに危険性の高い薬物に移る前に歯止めをかける狙いもある」(同前)
永山被告の復帰作品には警察の反大麻CMが最適かもしれない。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年9月14日号)