東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=に賄賂を渡したとして、KADOKAWA元会長の角川歴彦被告(80)らと共に贈賄罪に問われた元専務芳原世幸被告(65)の公判が13日、東京地裁(中尾佳久裁判長)であった。検察側は懲役2年を求刑し、弁護側は執行猶予を求めて結審した。判決は10月10日。
検察側は論告で「一企業の利益のために大会の信頼を失墜させ、公益的価値を踏みにじった。長期間にわたり非常に高額な賄賂を供与しており、悪質だ」と非難した。弁護側は「被告は自らの権限では決定できなかった。角川被告に比べると責任は軽い」と訴えた。
一連の事件では計15人が起訴された。これまでに角川、芳原両被告との共謀を問われた同社元担当室長を含む10人が執行猶予付きの有罪判決を受け、確定している。
起訴状によると、芳原被告は角川被告らと共謀し、高橋被告にスポンサー選定や協賛金額の決定で便宜を依頼。2019年7月~21年1月に計約7600万円を高橋被告側に渡したとされ、うち公訴時効(3年)が経過していない計約6900万円の贈賄罪に問われた。
[時事通信社]