東京電力福島第1原発の処理水が海洋放出された8月24日から、約3週間が経過した。処理水放出に伴う中国の日本産水産物の輸入停止を受け、国内の消費拡大を促す動きが広がっている。輸出停止の影響が大きい、福島県いわき市では「ふるさと納税」の寄付件数が放出前の約11倍となり、寄付額は1億7949万円に到達した。
いわき市創生推進課の小川仁一さん(54)は「(放出前と比較し)1日あたり90万円だった寄付額が、現在は約750万円となり、かなり驚いています」と話した。ふるさと納税の利用者からは「大変な状況だけど漁業関係者には頑張ってほしい」「食べて福島を応援します!」といった激励の言葉が届いているといい、「エールをもらっています。福島に魅力を感じて、足を運んでもらえるきっかけづくりができれば」と笑顔で話した。
福島の港で水揚げされた魚は「常磐(じょうばん)もの」と呼ばれ、「常磐もの」「常磐沖」と記載された商品が人気。ふるさと納税の総合サイト「ふるさとチョイス」によると、いわき市のふるさと納税1位は「いわき常磐沖産 特選タコ詰め合わせ5種セット」(寄付金額1万円)。5位にいわき前浜のメヒカリなどが入った「干物セット」(1万円)が入っている。
干物セットを出品している「有限会社 海幸」の高萩則夫代表取締役(66)は「震災時のようなダメージも想定してましたが、風評が逆に支援になってくれた。ありがたいですね」と感謝した。その一方で「一過性にならないか心配」と不安も口にし「『これいいじゃん』とリピーターが増えるよう、この好影響が続くように我々も努力しなければという思いです」と決意を口にしていた。
(坂口 愛澄)