山口県立総合医療センター(防府市)は25日、1~2月に防府市の肺がんの男性(当時61歳)に対し予定していた11倍のステロイド薬を誤って投与した後、予定の2倍のモルヒネも投与し、その2日後に男性が死亡したと発表した。医師の処方箋の入力ミスなどが誤投与の原因としているが、死亡との因果関係は否定している。
センターなどによると、医師は1月10日、自宅療養中だった男性に、呼吸困難緩和のためステロイド薬を1日1錠(4ミリ・グラム)服用させることにしたが、処方箋の数字の入力を誤って11錠を処方し、男性は10日間服用。男性が体調を崩して判明し、センターは男性側に謝罪した。
入院中の2月1日には、看護師が1錠(30ミリ・グラム)の予定だった痛み止めのモルヒネを2錠投与。別の看護師が気づいてセンターは再び謝罪したが、男性は同3日に死亡した。
センターは2月13日付の調査報告書で、過剰摂取による重篤な副作用はなく、死因は肺がんの悪化と結論付けた。センターの武藤正彦院長は取材に「ご心配ご迷惑をおかけしおわびする。再発防止に努める」と話した。
男性の家族は取材に「誤投与が短期間で繰り返され、死期が早まったと考えている。不信感と怒りは大きい」と話している。