福岡県水巻町強盗殺人事件 背景に“実態のない借金” 浮かび上がる3人の不可解な関係

ことし6月、福岡県水巻町で起きた強盗殺人事件についてです。逮捕された3人は9月8日に起訴される見込みですが、難しいとされているのが『殺意の立証』です。背景には、捜査関係者も首をひねる3人の不可解な人間関係があります。
この事件はことし6月、水巻町の町営住宅で辻つぐみさん(当時52)が首を絞められて殺害され、通帳などが奪われたものです。
警察は強盗殺人の疑いで、つぐみさんの妹の辻和美容疑者(51)と知人の岡村恵美容疑者(46)、その娘の愛香容疑者(24)の3人を逮捕しています。警察は和美容疑者が1人でつぐみさんを殺害し、岡村容疑者親子が犯行に使う道具を準備した計画的な犯行とみています。
しかし、和美容疑者は「姉に金を借りに行ったが断られたので、通帳を奪った」と強盗を認める一方、「殺してはいない」と殺害については否認しているといいます。
一方、岡村容疑者親子は「和美容疑者がまさか殺してまで奪ってくるとは思わなかった」と供述しています。
3人の供述から浮かび上がる不可解な関係性も殺意の立証を難しくしています。
20年ほど前に福岡県遠賀郡の工場で出会ったとみられる和美容疑者と岡村恵美容疑者ですが、関係者によりますと、数年後には和美容疑者は知人やヤミ金融から借りてまで岡村容疑者に金を渡し続けていたとみられます。その後、借金が原因で家を出た和美容疑者は、十数年にわたって公園などで寝泊まりしながら日銭を稼いでいました。
■和美容疑者とみられる人物を知る人
「黒崎をうろうろ、公園におったり向こうの公園におったり。寝泊まりはベンチに寝ていたり。公衆電話の中とか朝見ましたけどね。」
■和美容疑者とみられる人物を知る人
「雨の日も雪も日も、毎日毎日出てきて朝方までずっと1人で立っていて、黒崎で一番働いているのではと思った。」
収入のほとんどは、ほぼ毎日ATMから岡村容疑者に振り込み、その総額は数千万円にものぼるとみられます。
和美容疑者が、事件後に姉の口座から不正に引き出した約74万円も、大半が岡村容疑者親子の元へ渡っていました。なぜそれほどの金を渡し続けたのでしょうか。和美容疑者は「借りた金を返し続けないといけないと思った」と話しています。
捜査関係者は、和美容疑者が実際はない借金をあると思い込み、岡村容疑者に金を渡し続けていたとみています。また、事件についても、まとまった金が必要と聞いた和美容疑者が金を用立てるために姉の元に向かったとみています。
実態のない借金がなぜ、姉を殺し金を奪う行為につながったのか、3人は9月8日に起訴される見込みで、謎の解明は法廷の場に移ります。

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