「何年なにもせんと食わしてもらいよるんや」10年以上同居の女性脅迫し『マインドコントロール』傷害罪など問われた男 調書で明かされた”恐怖支配された”生活実態「家族と会うな」「1000万円奢ってんぞ」

10年以上前から同居する女性ら3人を日常的に脅迫し、マインドコントロールして軟禁状態に置いていたとされる男の裁判。25日に大津地裁で開かれた初公判で男は起訴内容を認め、「10年以上一緒に居た甘えがあり、調子に乗っていた」などと話した。
発覚は同居女性からの電話「通報バレれば暴力ひどくなる…探さないで」

傷害罪や脅迫罪、暴行罪などで起訴された滋賀県大津市の設備業・山森健被告(44)。起訴状によると、今年3月に自宅で同居していた女性・Aさん(当時26)にパイプ椅子で殴るなどの暴行を加え、全治3週間のけがをさせた罪や、今年5月、同居していた女性のBさんとCさん(当時36・37)に「蹴り殺すぞ」などと暴言を吐き、脅迫した罪などに問われている。
事件が発覚したのは、今年6月にあった女性(Aさん)からの1本の電話だった。
山森被告と同居していたAさん「同居男性から酷い暴力を受けている。通報したことがバレれば、また暴力がひどくなる。探さないで」
電話は2分足らずだった。翌日、警察は山森被告の自宅を特定して踏み込むと、通報してきたAさんの他にBさんとCさんら3人の女性が暮らしていた。女性らは、山森被告から「何年なにもせんと食わしてもらいよるんや」「蹴り殺すぞ」などと脅されていた。山森被告は女性らを精神的に支配し、マインドコントロールしていたとみられている。
「家族と会うな」「1000万円奢ってんぞ」暴言や暴力…調書から見えた”恐怖に支配された”生活実態
そして、25日に大津地裁で開かれた初公判。長髪を後ろで結び、黒いスーツに身を包んで法廷に現れた被告は、傍聴席に礼をする様子もあった。
冒頭、検察官が起訴状を読み上げると、山森被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察官による証拠調べで、Aさんら同居していた女性3人の供述調書が読み上げられ、山森被告と知り合った経緯や暴力が振るわれた状況、また、当時の生活実態が明かされた。
▼Aさん(当時26)の供述調書「被告とは私が働いていた飲食店に客として訪れて知り合い、今年1月ごろから付き合い、2月ころから同居していた」「私が好きな韓国歌手のことで被告から怒られることがあり、パイプ椅子を振り上げられて4~5回殴られた」「被告と別れ話になったときに、『海外旅行に行ったことない』と嘘をついたことで暴力を振るわれた。BさんとCさんは脱衣所に逃げていたが、『被告の暴力は異常だから状況を動画で撮影した』と聞いて2人が仲間とわかり、それ以降ケガの写真などを撮ってもらうようになった」
▼Bさんの供述調書(当時36)「11年前に被告と出会い、職場のパワハラを相談したところ行政書士を紹介してくれて、仕事をやめた。Cさんの住んでいたアパートで一緒に同居するようになり、被告から暴力を振るわれた。『家族と会うな』などと言われていた」「(手伝っていた)通販事業がうまくいっていないと知ると、『1000万円くらい奢ってんぞお前らに』などと言われ、恐怖で震え逆らうことが出来なかった。窮屈で息苦しい毎日を過ごしていた」
▼Cさんの供述調書(当時37)「2007年、働いていたパチンコ店の常連客として被告と知り合った。21歳の頃、被告に『実家を出ろ』『親と連絡を取るな』と言われて一人暮らしするようになった」「2011年頃、被告のもとから逃げ出したが連れ戻された。その時、被告の知り合いの司法書士のところで『被告は暴力を振るっていない』という旨のウソの書類を作っていたのを見て、その後被告から逃げる選択肢がなかった」
女性らの供述調書からは、山森被告の日常的な暴言や暴力に怯え・逆らえず、”恐怖に支配されていた”とも言える生活実態が見え隠れした。
男 「ディズニーランド何度も行ったし…支配関係なかったと思う」
一方で、山森被告は10年以上同居していたBさん、Cさんに対しての『支配関係はなかった』と話した。
山森被告「なにか頼んでも嫌なことは断られていたし、家の中では2人ともリラックスしていた。買い物に行ったり、ディズニーランドにも何度も行ったし、沖縄にもあちこちに行っていた。支配関係になかったと自分では思っている」
これについて、検察官から「『支配がなかった』という被告の気持ちと、被害者の気持ちの違いは分かるか」と聞かれると、被告は「わかります」と答えた上で「10年以上一緒に居たという甘えと、調子に乗っていたと思う」と話した。
元交際相手と交際相手が同居する”いびつな”関係「『正しいことしている』当時思っていた」
また、元交際相手と、交際相手の女性を同居させるという”いびつな”関係について、問われるとー。
検察官「彼女であるAさんを別の女性と生活させたことはどう思っていた?」山森被告「その時その時に理由があったが、大きく考えると『おかしいことしてるな』と思う。自分は正しいことをしている、と当時は思っていた」
暴力を振るっていた理由についてはー。
山森被告「近い関係の人には『良くなって欲しい』という思いがあり、最初は言葉で伝えていたがそれに耐えられず暴力を振るうようになってしまった」
検察側は懲役3年求刑 弁護側は猶予付き判決求める 男は反省と後悔の弁
逮捕・勾留されたことをきっかけに、「2度と暴力を振るわない」と思うようになったと言い、1時間ほどの審理中、被告の口から反省と後悔の弁が何度も語られた。
山森被告「(被害者に)大変申し訳ない。皆さんに恐怖を与えてしまった」
検察は「被害者らは被告からの暴言や暴力により萎縮して言動を抑圧されるなど、甚大な肉体的・精神的苦痛を受けた」と指摘し、「規範意識が著しく欠如しており再犯の可能性が高い」などと懲役3年を求刑。
一方、弁護側は公訴事実は争わないとしたものの、「10年以上同居する女性らとは大半は穏やかな生活を送り、支配関係があったと言えない。被告は深く反省している」などとして執行猶予付きの判決を求め、審理は即日結審した。
判決は10月10日に言い渡される予定だ。

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