東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で贈賄罪に問われた広告会社「大広」元執行役員、谷口義一被告(58)の公判が27日、東京地裁(野村賢裁判長)で開かれた。広告最大手「電通」元専務で大会組織委員会元理事の高橋治之被告(79)=受託収賄罪で起訴=が証人として出廷し、「一切の証言を拒否する」と述べた。
計5ルートで総額約1億9800万円を受領したとされ、一連の事件の「主役」である高橋被告が法廷に姿を見せるのは初めて。関係者によると、一貫して起訴内容を否認している。
大広ルートでは今月19日の前回公判で、賄賂の「受け皿」になったとされるコンサルティング会社の代表、深見和政被告(74)=受託収賄罪で起訴=が出廷。
大広側から受領した資金の一部を高橋被告に送金したことは認めた上で、電通時代の先輩である高橋被告との「ビジネスマンとしての取引だった」と、賄賂性を否定する証言をしていた。
起訴状などによると、平成31年1月~令和4年2月、大会スポンサー契約に参画できた見返りなどとして、大広側から深見被告の会社名義の口座に計約1500万円が振り込まれた。検察側はこれを高橋被告側への賄賂だと判断している。
高橋被告の初公判は、12月14日に行われる見込み。