名古屋出入国在留管理局の入管施設で2021年3月、スリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、名古屋地検は29日、検察審査会が「不起訴不当」と議決した当時の局長ら職員13人について、殺人罪と保護責任者遺棄致死罪で再び不起訴処分(嫌疑なし)とした。
検審が検討を求めていた業務上過失致死罪については、死因を特定できず、予見可能性や回避可能性などは認められないと判断した。検審の議決は「起訴相当」ではなかったため、不起訴に対する2回目の審査は行われず、捜査は終結する。
地検は昨年6月、殺人などの容疑で告訴・告発された13人を嫌疑なしで不起訴とした。遺族らの審査申し立てを受けた名古屋第1検察審査会は同12月、殺人罪などでの不起訴は妥当とする一方、「救急搬送していれば救命可能だったと考えることもできる」と言及し、業務上過失致死罪の成否を検討するよう求めていた。
遺族側の指宿昭一弁護士は記者会見で「不当な決定で強く抗議したい」と述べた。オンライン参加したウィシュマさんの妹ポールニマさん(29)は「とても悲しい。こんなにひどい決定は予測していなかった」と語った。
[時事通信社]