日本維新の会が、次期衆院選で大阪府や兵庫県の小選挙区候補が比例選に重複立候補することを認めない案を検討している。執行部は党内を引き締める効果を期待するが、当事者の候補者らには不満もくすぶっており、与党側は維新の対応を注視している。
維新の馬場代表は9月28日の記者会見で「大阪では小選挙区で通ってくることが当たり前だ」と強調した。
野党第1党の奪取を目指す維新は、小選挙区での勝利を重視する。重複立候補の制限には、支持基盤の強固な両府県で「比例復活」の可能性を断つことで各陣営に緊張感を持たせるほか、「背水の陣」で臨む姿勢で党のイメージ向上を図り、全国的な比例票上積みにつなげる狙いがある。
2021年衆院選で両府県の小選挙区の維新の戦績は16勝8敗だった。ただ、次期衆院選では、公明党と対決する6選挙区で初めて候補を擁立し、激しい接戦が予想される。候補者の間には「両府県で惜敗した人が国政に行けず、他県で大敗した人が比例復活するのはおかしい」との反発もあり、執行部は重複立候補のあり方について近く最終判断する見通しだ。
維新の対応に最も神経をとがらせるのは公明だ。公明内では、維新と対決する6選挙区で、従来見送ってきた重複立候補を認めることも取り沙汰されている。北側一雄副代表は9月28日の記者会見で「これからの検討事項」としたが、党内では「維新と比較されて『逃げ道を作った』という印象がつくのは避けたい」(党幹部)との声も出ている。
自民党は21年衆院選で、大阪で候補を擁立した15選挙区で維新に全敗した。「大阪刷新本部」が取り組む党勢立て直しは道半ばで、党幹部は「まずは自分たちの活動量を上げることが優先だ」と話す。