「多くの人救った」 山中伸弥教授ら祝福 カリコ氏らノーベル賞

今年のノーベル生理学・医学賞に、メッセンジャー(m)RNAワクチンを開発した米ペンシルベニア大のカタリン・カリコ特任教授(68)とドリュー・ワイスマン教授(64)が決まったことを受け、研究者から祝福の声が相次いだ。
カリコさんと親交のある山中伸弥・京都大iPS細胞研究所教授は2日、研究所のX(ツイッター)に祝辞を投稿した。投稿文は次の通り。
「カタリン・カリコ先生、ご受賞おめでとうございます。対談の機会をいただきました際に、非常に謙虚な姿勢で粘り強く研究を進めてこられたことをお聞きし心から尊敬の念を抱きました。コロナ禍という世の中が危機感に覆われた中、mRNAワクチン技術という画期的な発明により多くの人が救われました。そのご業績に心から敬意を表します」
また、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂氏は毎日新聞の取材に「素晴らしい研究」と評価。「(コロナ)重症化や感染予防に一定の効果があり、これがなかったら日本のコロナ対策は厳しかった」と功績をたたえた。
石井健・東京大医科学研究所教授(ワクチン学)は「ノーベル賞にふさわしい2人。受賞すべくして受賞が決まった」と語り、「彼らの研究成果がなければmRNAワクチンが何十億人に行き渡ることはなかった。不可欠でパイオニアといえる研究だった」と称賛した。
新型コロナの世界的大流行でmRNAワクチンが果たした重要な役割については「コロナ禍前は実用化の前段階にあった。緊急のワクチンとして期待された役割をフルに発揮する最大のチャンスを手にしたのは間違いない」と指摘。「遺伝子治療としてのmRNA医薬はまだまだ改善が必要だ。これがワクチン研究やmRNA医薬の研究が発展するきっかけになってほしい」と望んだ。
mRNAを用いた創薬研究が専門で、カリコさんとも親交のある位高啓史・東京医科歯科大教授は「これまでmRNAは決してメジャーな研究分野ではなく、薬になるとまともに考える人がいなかった。その中でカリコさんは『絶対に薬になる』と本気で取り組み続け、創薬の礎を築いた」と賛辞を贈った。「感染症やがんのワクチン、一般的な薬にmRNAが広く使われるようになることを強く期待している」と話した。【阿部絢美、松本光樹、鳥井真平、田中韻】

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