薬局に処方薬がない?全国的に深刻な薬不足…「発注しても入ってこない」中、警戒されるインフルエンザとコロナのW流行

この冬は新型コロナとインフルエンザのW流行に警戒です。 12日発表された新型コロナの1医療機関あたりの感染者数は全道で8.19人と、10週ぶりに10人を下回りましたが、道は引き続き、基本的な感染対策をするよう呼びかけています。 一方、インフルエンザは例年より早く流行が始まりました。1医療機関あたりの感染者数は、流行入り基準の1人を超え、2.09人となっています。 今、身近な病院や薬局は、どんな状況になっているのでしょうか。
11日、札幌市中央区の高齢者施設では、新型コロナのワクチンの出張接種が行われていました。 接種を行っていた藤本晶子院長のクリニックでは、発熱などの症状を訴える一般の患者で混雑が続いているといいます。
とよひら公園内科クリニック 藤本晶子院長 「結構、電話がひっ迫している。通常診療に加え、ワクチンをやっているということと、その日の検査の混み具合によっては1日に3名とか5名とか、検査できる数に限りがあるので、(患者は)ずっと減ってはいない感じですね」
さらに、これからの冬に向かう時期については…
とよひら公園内科クリニック 藤本晶子院長 「例年のコロナだけでも増えてくる時期ですし、コロナが始まる前だとインフルエンザだけで10人とか20人(患者が)来てたんですよね。その人たちをどうやって診ていこうかっていうのは、ちょっと今からスタッフとも考えて迷っているところですね」
病院だけではありません。「薬局」も危機に瀕しています。
北海道薬剤師会会営薬局 管理薬剤師 松本康太さん 「夏場、発注したものがまだ入ってこなかったりですとか…1000錠頼んでも100錠単位できたりですとか」
北海道薬剤師会 有澤賢二会長 「4000とか5000という品目に対して供給不足が生じています。過去にないです。聞いたことないです」
新型コロナとインフルエンザのW流行が心配される中で起きている、深刻な「薬不足」をもうひとホリします。
札幌市内の調剤薬局を見てみると、薬が全くない、あっても残りがわずかである棚が目立ちます。
北海道薬剤師会会営薬局 管理薬剤師 松本康太さん 「特に今はせき止めや去たん薬(たんを出しやすくする薬)の流通が滞っていて、うちの薬局も発注はしてるんですけれども、入ってこない状況です。漢方薬も流通が一部滞っている」
薬不足に対応するため、薬局では、医師に確認をしながら、類似の成分の薬を出したり、錠剤を粉薬に変更したりしているといいます。 街の人は…
60代女性 「(薬の在庫が)今現在ないから自宅の方に送りますね、というのは2回ぐらいありました」 70代女性 「(別の薬でも)成分が似ていて自分の症状が改善されるんだったらいいですけれども…特にぜんそくを抱える人にとっては日常生活を遅れなくなる懸念があり、心配です」
ではなぜ、薬が不足しているのでしょうか? きっかけは3年前に複数の製薬メーカーで起きたトラブルでした。
北海道薬剤師会 有澤賢二会長 「あるメーカーさんの方で間違った製品を作った。さまざまなメーカーさんの生産体制の査察をしたところ、近いような事例がたくさん見つかり、業務停止になったことが発端です。薬はいくつかの工程を経て最終製品になっていきますので、医薬品メーカーさんの一部に業務停止が起こると、連鎖的に他の製品も作れなくなるということが続いている」
さらに追い打ちをかけたのが新型コロナの流行です。
薬剤師会会長 「コロナ禍でさまざまな呼吸器系の薬がたくさん必要とされて、奪い合いに。全国に6万2000軒近くの薬局がありますけども、いつもだったら1つ2つ、在庫を用意してたのを10個とか、行動に動けば全体的な数は少なくなる」
事態を重く見た厚生労働省は、先月末、全国の薬剤師会に通知を出しました。 咳止めや痰の薬は長期の処方を控え、最小日数での処方に努めること、また、こうした薬の過剰な発注をしないことなどを求めています。
薬剤師会会長 「感染症が拡大した時に本当に必要な薬が確保できるかというのは、まだまだ先が見えない状態。少なくとも、もう1~2年では解決する問題ではないと思う」
北海道薬剤師会によりますと、店頭で売られる市販薬に比べ、調剤薬局や医療機関で出す処方薬の不足が全国的に深刻な状況だということです。
また、私たちが支払う薬代も変わったのをご存じでしょうか。 新型コロナの治療薬は、今まで無料でしたが、今月から一部、自己負担に変更されました。 その自己負担の上限額は、医療費の自己負担割合が1割の人で3000円、3割の人だと9000円になります。
さらに、他の薬も価格があがるかもしれません。 厚生労働省は、新薬の開発を後押しする財源確保のため、薬の自己負担額を、現在の1割から3割よりも増やす方向で、先月から審議会で検討を始めました。 年末にかけて考え方をまとめるということです。 朝晩はぐっと冷え込むようになってきました。 薬が必要にならないよう、体調管理にお気をつけください

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