厚生労働省は17日、医薬品や医療機器の臨床試験(治験)の支援業務をする「メディファーマ」(東京都港区)が医療機関から引き受けた治験のうち、実施中の44件を含めて最大123件でデータの改ざんなど不正をしていたと発表した。健康被害は確認されていないという。不正は前例がない規模で、厚労省は今後処分を検討する。
同社は2012年に設立された。製薬企業の依頼を受けて治験を実施する医療機関を支援するため、治験のスケジュール管理や書類作成などの事務作業を請け負っている。
厚労省に公益通報があり、8月末~9月上旬に計3回、同社に立ち入り検査をした結果、不正が判明した。
厚労省医薬品審査管理課によると、同社は治験で定められた時間に薬を投与していなくても、投与したように書類を改ざんしたり、呼吸機能検査でわざと悪い結果を出したりしていた。
さらに、医師が受講すべきオンライン講座を社員に代行させたほか、薬の保管温度が不適切だった事実を隠していた。こうした不正を設立当初から組織ぐるみでしていたとみられる。
厚労省は医薬品で最大116件、医療機器で最大7件の不正を確認した。その中で薬事承認されていたのは、医薬品で23件、医療機器では2件あった。ただ、具体的な品目については明らかにしていない。
治験に関しては医薬品医療機器法に定められている。厚労省の担当者は「悪質な違反だ」と話した。同社の担当者は毎日新聞の取材に不正を認め「経緯などの詳細は調査中のため、コメントは控える」と語った。【添島香苗】