事業者のチェック甘さ露呈、不法残留ベトナム人が関空立ち入り禁止区域で業務

偽の在留カードを派遣会社に提示したとして、大阪府警は18日、入管難民法違反(偽造在留カード行使)の疑いで、ベトナム国籍の派遣社員、マイ・コン・フォック容疑者(24)を逮捕した。マイ容疑者は派遣会社を通じ、関西国際空港にある一般客の立ち入り禁止区域で貨物関係の業務に従事。在留期間を超えて超過滞在となった後も、区域の立ち入り証を携行していた。
逮捕容疑は9月7日ごろ、更新状況を確認するため在留カードの提示を求めた大阪市の派遣会社に対し、交流サイト(SNS)経由で偽造されたカードの画像データを送信したとしている。容疑を認め、「金を稼ぎたかった」と供述している。在留期間は8月27日までだった。
府警によると、マイ容疑者は平成31年1月に来日。今年7月ごろから立ち入り証がなければ入れない関空の区域で働き始めた。このときは派遣会社に本物の在留カードの画像を送っていたとみられる。
高い警戒レベルが求められる空港で不法滞在の外国人が荷役業務に従事していた疑いが浮上した。背景には事業者によるチェックの甘さがあったとみられる。
逮捕されたマイ容疑者の派遣元会社は、対面や原本で在留カードを確認せず、SNSを通じて画像データを受け取っただけだった。出入国在留管理庁は「対面で原本を確認するのが望ましい」としている。
関空を運営する関西エアポートによると、マイ容疑者が働いていた貨物エリアは航空機の運航に関わる区域ではないが、府警は今月末に先進7カ国(G7)大阪・堺貿易大臣会合を控え、小さなほころびもセキュリティー上のリスクになるとみて警戒を強めている。

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