大阪市の天王寺動物園は17日夜、メスのチンパンジー1頭が飼育エリアから逃げ出した経緯に関して緊急会見を開き、向井猛園長自らが当時の状況を説明しました。
天王寺動物園によりますと、敷地内で飼育するチンパンジーのメス「レモン」の脱走に飼育員2人が気づいたのは、17日午前10時15分ごろ。
本来のチンパンジー舎の改修を控え、6頭いるチンパンジーを順次、仮住まいの獣舎に移し始めており、事故はここで起きました。
先に暮らし始めていたナナコ(メス)との交流に慣らすため、寝室からレモンを出して廊下(動物通路)に移し、金網ごしに対面(お見合い)させようとしたとき、レモンが廊下の天井付近にあった幅20センチほどのすき間から逃げ出したといいます。
約20分後、来客に近づかないように園内で警戒していたスタッフ4人(獣医3人と管理職)が、レモンを発見。
このうち、麻酔銃を手にしていた42歳の男性獣医に向かって、レモンが飛びかかったといいます。
園側は会見で「チンパンジーは銃に対する認識はあり、それを扱う人間には『撃たれる相手』という認識があったのでは」と推測しています。
獣医は左ほおをかまれ、縫合するけがをしました。
レモンはその後、園内の林で見つかり、しばらく木の上にとどまっていましたが、負傷した獣医らが現場に戻って放った麻酔銃14発のうち8発がレモンに当たり、脱走から約3時間後に木から落ちたところを捕獲されました。
レモンはすり傷はあるものの大きなけがはなく、目覚めて園内で休んでいるといいます。
向井園長は会見で「多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことをおわびします」と改めて陳謝しました。
天王寺動物園はこの時期は小学生や園児らの来場も多く、17日は急きょ休園としましたが、獣舎のすき間を埋める作業などを済ませ、18日は開園する予定です。