近大剣道部員、飲酒後“暴行”で死亡 「ふざけ合いがエスカレート」……親しい2人に何が? 注意喚起メール「読まない」証言も

強豪の近畿大学剣道部の部員(21)が飲酒後に暴行を受け、死亡しました。傷害容疑で逮捕された部員(21)とは仲が良く、2人がふざけ合っていると、けんかのような状態に発展。同大では過去にも飲酒事故があり、大学が注意喚起メールを送っていました。
近畿大学は18日に会見を開き、3年生の男子剣道部員(21)が亡くなったことを明らかにしました。
副学長補佐
「部員同士の会食後に部員1人がくも膜下出血で救急搬送され、10月16日に亡くなるという事案が発生いたしました。また、別の部員1名が傷害容疑で逮捕・勾留されております」
逮捕されたのは同じ剣道部の学生(21)でした。副学長補佐は「2人は仲の良い友人同士であり、ふざけ合いがエスカレートしてけんかのような状態になったとみられます」と説明しました。
現場は近鉄長瀬駅にほど近い大阪・東大阪市の商店街。暴行を受けた男子部員は、そのまま意識不明の状態で病院に搬送されました。同学年で仲が良かったという2人の間に何があったのでしょうか。
10月5日未明、大学によると、2人は居酒屋で飲んでいました。そこに別の剣道部員4人が合流し、飲み会は合わせて6人になりました。このうち2人は20歳未満でしたが、飲酒をしていたといいます。
逮捕された部員は、生ビール2杯、グラスワイン4杯ほど、日本酒おちょこ5杯ほどを飲んでいて、亡くなった部員も同じ種類の酒を飲んでいたとみられています。その後、亡くなった部員と20歳未満の部員の1人が飲み過ぎたのかおう吐したため、店を出ました。
逮捕された部員と亡くなった部員は、会計の時から肩を寄せ合い、ふざけ合っていたようです。店を出た後、徐々にエスカレートし、けんかのような状態に。亡くなった部員が路上で平手打ちしたところ、もう1人が怒り、追いかけ、たたくか押したといいます。
そして亡くなった部員は、近くにあった複数台の自転車に倒れ込みます。逮捕された部員は、他の部員が止めに入っても振り切り、さらに押したとみられています。
現場で、捜査する警察官の姿を見たという人は18日、「ABCDE…(部員役の)札を付けていた。(警察官の)1人がファイティングポーズを取っていた」と振り返りました。
倒れた際に後頭部を打った部員は病院に搬送され、10日以上がたった10月16日に亡くなりました。暴行と死亡の関連について、警察が捜査しています。
剣道部の監督は18日の会見で「稽古が終わった後に2人で自主練習をして一緒に帰ったり、皆が認めるような友達関係だったと聞いています」と述べました。
ただ、当時は普段と違った状況にあったようです。近畿大学のスポーツ振興センター事務長は「(逮捕された)彼がこれだけ怒った様子になったのは初めて見た(と聞いています)」と明かしました。
逮捕された部員は自ら救急車を呼び、19歳の2人を家に帰したといいます。面会した家族に監督が聞いたところ、申し訳なさそうに泣き崩れていたということです。
近畿大学の剣道部は、去年の「全日本学生剣道剣道優勝大会」で3位に入った強豪。男女合わせて44人が所属していますが、今回の件を受けて活動を自粛しています。
現役の近畿大学生からは「暴力とか周りでないので、受けたことも見たこともなかったので、びっくりですよね」「(剣道部は)普段からスポーツを真剣にしているので、このような事件が起こるのは想像つかないので悲しいですね」という声が上がりました。
近畿大学では6年前、テニスサークルの飲み会で学生が飲酒で死亡する事故が起きていて、飲酒マナーの徹底に向けた対策をしてきました。
飲み会が多そうなシーズンに、大学から学生に注意喚起のメールが送られてくるそうです。「大学メールというのがあり、そこに定期的に送られてくるものです。(ただ)それを詳しくは読まない学生は多いかなとは思います」と現役の近畿大学生(20)は言います。
大学近くの飲食店の人は「(つぶれるまで飲むことは)めっちゃ多いですね。救急車や警察が出動する事態がこれだけ頻繁に起こっているわけなんで…」と話します。
大学の副学長補佐は会見で「学生は信頼していない大人からの注意は聞いてくれないものだと思っています。常日頃から信頼関係を構築するようなつもりで、学生としっかり接していくことが必要である(と考えています)」と語りました。
逮捕された部員は「被害者が先に手を出してきたのでやり返した」という趣旨の話をしているということで、警察が詳しく調べています。
(10月18日『news zero』より)

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