<独自>高級車窃盗グループ摘発、計26台1.5億円被害 兵庫県警

兵庫や大阪で主に高級車を狙った自動車盗を繰り返したとして、兵庫県警捜査3課などが窃盗の疑いで、住所不定の無職、藤井礼徳(まさのり)被告(37)=窃盗罪で公判中=ら男3人を逮捕、送検したことが30日、捜査関係者への取材で分かった。
被害はトヨタの「アルファード」や「レクサス」など計26台(1億4800万円相当)に上る。男らは車に衛星利用測位システム(GPS)が搭載されているのを警戒し、盗んだ後はしばらくコインパーキングに止め、捜査が及ばないか様子を見ていたという。
ほかに逮捕、送検されたのは兵庫県尼崎市杭瀬本町の工場作業員、薮内裕太被告(34)=同=と住所不定の無職、篠原光被告(43)。捜査関係者によると、3人は令和4年10月~今年1月、兵庫や大阪で、高級車やバイクの窃盗を繰り返した疑いが持たれている。
公判での関係者の証言などによると、藤井被告が実行役の薮内被告らに狙う車種などを指示。篠原被告が盗難車を売りさばく役割を担っていたとみられ、県警は3人の関係性やほかの共犯者の存在など、グループの実態解明を進める。
薮内被告は特殊な端末を車に接続して制御システムをハッキングし、エンジンを始動させる「CAN(キャン)インベーダー」という手口で車を盗み、離れたコインパーキングに駐車。数日間待って警察の捜査が及んでいないことを確認すると、藤井被告が管理する神戸市内の自動車整備工場で車体番号を加工し、関東方面へ運んで転売するなどしていたとみられる。
県警は2月、兵庫県芦屋市内でアルファード1台(約350万円相当)を盗んだとして薮内被告を逮捕。その後の捜査で藤井被告と、篠原被告の関与が浮上した。藤井被告は「金が欲しくて盗品ビジネスをした」などと供述しているという。
車載GPS警戒、パーキングに一時放置
「GPSが入っていたら警察が追ってくるのでコインパーキングに置いておくように言われていた」。兵庫県警が摘発した窃盗グループで実行役を担った薮内被告は自身の公判でこう明かした。
窃盗グループは、GPS情報をもとに所有者が車を取りに来たり、警察が捜査したりしていないか確かめるため、盗んだ車をコインパーキングなどに数日程度止め、状況をうかがっていた。
ある捜査関係者は、こうした手口が「自動車盗の常套(じょうとう)手段」になっていると指摘、「パーキングを転々とさせる用心深いやつもいる」と話す。
ドライバーが盗難防止用の別のGPSを取り付けていれば、仮に車が盗難被害に遭い、標準装備されているGPSを取り外されたとしても車両の位置情報を追跡できる。今回の窃盗グループによる被害車両の中にも、GPSの位置情報から、仮置き場に止まっているところを発見されたケースもあるという。
一方、車の盗難防止には「ハンドルロック」や「タイヤロック」といった器具を使う物理的な対策が効果的とされる。捜査幹部は「車外からも盗難対策をしているのを見える形にして、盗むのに手間がかかると相手に思わせることが最も有効だ」としている。

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