原発処理水放出の「風評被害」をつくっているのはマスコミ 高橋洋一が持論を展開

数量政策学者の高橋洋一が8月23日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。福島第一原発の処理水の海洋放出について解説した。
処理水を薄めるために海水をくみ上げる移送ポンプ=2023年6月26日午後、福島第1原発構内 写真提供:産経新聞社

飯田)福島第一原発の処理水の海洋放出は、早ければ8月24日にも開始するということです。中国や香港など、日本の水産物の輸入が減少しています。中国では日本からの輸入水産物の放射性物質の検査が強化され、輸入が減っているということです。
高橋)日本側がどのようにチェックしているのか、マスコミはもっと報道するべきだと思います。今回のように、放出するようなときだけは大きく報道されますよね。しかし、例えば福島だと、福島産品の検査が随時公表されていますが、それについてはほとんど報道がないのです。
飯田)確かにそうですね。
高橋)不思議で仕方がありません。「報道しない自由」があるのかも知れませんが、定期的に検査しているわけです。「まったくの安全」という結果がずっと続いているわけですが、それを報道しないので、みんなわからないのですよね。
高橋)「福島産品の水産物はこのように検査されて、このような結果が出ています」と定期的に報道していれば、中国は放射性物質の検査強化などできないはずなのです。
飯田)毎日モニタリングチェックされており、もし基準値を超えるものがあったら「出荷をすべて止める」とされています。市場に出てくるものに関しては、安全なものしか出ていません。
高橋)安全なものです。それを毎日報道してくれたら、だいぶ違うのです。報道しない自由があるのかも知れませんが。
高橋)風評被害の話も、消費者庁が毎年調査していますが、「放射性物質があるかも知れないから購入しない」という人の比率はどんどん下がっているのです。もう5%もないくらいです。
飯田)そうなのですね。
高橋)だから風評被害というものは、実はもうないのです。風評被害を誰がつくっているのかと言ったら、おそらくマスコミなのですよ。マスコミの方には申し訳ないですが。結果的には、「科学的な安全性をいくら説明してもわからない人がいる」となると、風評被害になりますからね。
飯田)「安心」の部分は各々個人の心持ちのところがあるので、「イメージ」の部分で考えると「正しい、安全だ」ということが報じられないと、「何となく不安」と感じる人が「何となく不安」なまま放置されてしまうことになりますよね。
高橋)あとは報道の非対称性があり、安全性に関する報道はすごく少ないけれど、不安を煽る報道がとても多いのです。
飯田)モニタリング調査でも、少し基準値を超えたものがたまたま出た場合は大きく報じますが、毎日、基準値超えをしていないものが安全に出ていることは、ほとんど報じませんよね。
高橋)報道の非対称性はいつもあるのです。私は統計処理をしていますが、いつも異常値だけを報じている感じがします。異常値が出たことだけを報道するとバイアスが掛かり、「安心できないのではないか」と思ってしまう。
飯田)そのようなイメージがついてしまうのですね。
高橋)統計的に考えて見れば、通常値だけを報道してくれたらいいのではないかと思いますね。
飯田)ホームページ「ふくしまの恵み」では、福島県の農林水産物の「放射性物質検査情報」がリアルタイムに近い数字で毎日更新されています。ご覧いただければと思います。
高橋)みんなそういうことを言わないですよね。
飯田)現場の生産者の方たちは「そこに憤っている」ということを、何度も見聞きしております。

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