「漁業者全体が心配している」福島第一原発の処理水放出 北海道でも風評被害の懸念広がる

早ければあす(24日)にも海洋放出される、東京電力・福島第一原発の処理水。
道内でも漁業関係者や輸出業者の間で、風評被害への不安が広がっています。
北海道えりも町で水揚げされたオオズワイガニ。
「安くておいしい」と消費者に評判です。
しかし漁業者には不安がー
(えりも漁協 住野谷張貴 専務理事)「漁業者の了解なしには放出しないということだったが、漁業者全体が心配している」
不安の種は福島第一原発の処理水。
きのう岸田総理はー
(岸田首相)「(処理水の)具体的な放出時期については、気象海象条件に支障がなければ8月24日を見込みます」
あすにも海洋放出を開始すること表明しました。
IAEA=国際原子力機関は、海洋放出の計画について「国際的な安全基準に合致している」としていますが、
懸念されているのは国産の海産物に対する風評被害です。
オホーツクの紋別市。
新鮮な大粒のホタテは国の内外を問わず大人気です。
隣町の湧別町では、需要の増加を見越してホタテの冷凍工場を建設中ですが、
ここにきて風評被害による値下がりが起こることを危惧しています。
(湧別漁協 片岡伸一参事)「輸出に頼っていた部分を国内に食べてもらうことになるだろう。そのためには値段を下げないといけない。値段が下がるということは漁業者の収入が減るということ」
輸出業者にはすでに影響がー
(進風 山田英司課長)「これが弊社で扱っているホタテになります」
この会社では、ホタテをはじめとする道内の海産物を輸出していますがー
(進風 山田英司課長)「7月と6月、ここ2か月くらいは中国への輸出はストップしている。もう今は壊滅的ですね」
中国では近年日本食がブームで、品質の良い道内の海産物は高い人気を誇っています。
しかし、処理水の放出について中国政府が厳しい姿勢を取り始めてから、注文が途絶えたといいます。
(進風 山田英司課長)「本当に安心して食べられるものなんだよというのをみんなで作っていくしかない」
道はきょう連絡会議を開き、状況の把握に向け話し合いました。
(道 経済部資源エネルギー局 鎗水政好 課長補佐)「発生した風評被害については、国の責任において風評の実態に応じた機動的な対策が講じられることが必要」
水産王国・北海道にも風評被害を及ぼしつつある処理水の海洋放出。
安全のアピールに向けた丁寧な活動が求められます。

シェアする

フォローする