東京音楽大学に爆破予告のファクスを送信し業務を妨害したとして、埼玉県の無職の男(26)と東京農工大大学院生の男(22)が逮捕された事件。捜査幹部によると、「恒心教(こうしんきょう)」を名乗りインターネット上で特定の人への嫌がらせを繰り返す行為は平成24年以降に見られるようになった。ネット上の誹謗(ひぼう)中傷問題に取り組む弁護士が揶揄(やゆ)され、この弁護士が当時、在籍していた事務所の名前を引用して「恒心教」と総称されるようになったという。宗教団体ではない。
発信元として特定の人物の名前をかたり、学校や公的機関などにメールやファクスなどで大規模に爆破予告を行う嫌がらせは各地に及ぶ。
捜査関係者によると、恒心教を名乗る人物らの犯行が疑われる脅迫文では、語尾に「ナリ」が付いたり、「334」といった数字を多用したりする共通点がある。発信元を匿名化する「Tor」と呼ばれる特殊なソフトやVPN(仮想私設網)を介するケースが多く、摘発に至るケースは少ない。
恒心教を巡っては令和2年11月にネット上の掲示板に大学を爆破するなどと書き込み、大学院生の20代の男が逮捕された。押収した男のパソコンにもトーアが入っていた。爆破予告で学校の休校や業務の停止など社会的な影響も大きく、悪質性が高いことから警察当局が警戒を続けている。