処理水、海洋放出開始へ=復興へ廃炉急ぐ―事故から12年、転換点・東電福島第1原発

東京電力ホールディングス(HD)は24日午後1時ごろ、東電福島第1原発の敷地内にたまる放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を開始する。処理水を保管するタンクを減らし、政府・東電は福島復興に向け廃炉作業を急ぐ。原発事故から12年余りたち、一つの転換点を迎える。
処理水は、2011年の東電福島第1原発事故で溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の冷却などで生じた汚染水を、多核種除去設備(ALPS)で浄化処理し、大半の放射性物質を取り除いた水。水素の一種のトリチウムは取り除けず、国の安全基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満になるよう大量の海水で薄め、約1キロ沖合から海へ放出する。
東電HDは22日夜、処理水約1トンを海水で薄める準備作業を始めた。トリチウムが基準値を下回ったことが確認されたため放出に踏み切る。23年度は3万1200トンを放出する計画だ。
同社福島第1廃炉推進カンパニーの松本純一ALPS処理水対策責任者は、放出に先立って開いた記者会見で、「海洋放出に当たっては安全の確保が最優先課題だ」と強調。「一段の緊張感を持って対処したい」と述べた。
東電HDによると、処理水を保管するタンクは1000基超で、放出しなければ24年2月以降に満杯になる見通し。放出で空いたスペースは、燃料デブリの取り出しや保管などをするための敷地に充てる。廃炉作業は30年程度にわたって続く。
[時事通信社]

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