ロシア非常事態省は23日、小型ジェット機がモスクワ北西のトベリ州内で墜落し、乗客乗員10人全員が死亡したとみられると発表した。航空当局は、6月に反乱を起こした民間軍事会社ワグネルの創設者エブゲニー・プリゴジン氏(62)ら幹部の名前が搭乗名簿にあると明らかにした。タス通信が伝えた。
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◆舛添要一氏に聞く
プリゴジン氏はプーチン大統領らに“公開処刑”されたと言っていい。政権に逆らったら、許さないというメッセージであり、綿密な計算に基づく殺害だろう。プーチン氏はかつて諜報機関であるKGBに所属しており、政敵やスパイの殺害方法を熟知している。高い場所から突き落としたり、食べ物に毒を盛ったりなどKGB流の殺害方法はさまざまあるが、墜落死であれば、証拠も残らない上、確実だ。
また、事故直後の映像がすぐに報道されたのも不自然だった。KGBの後継組織として、現在はFSB(連邦保安局)が活動しているが、協力者が墜落の様子をスマートフォンで撮影したとみて間違いないだろう。プーチン氏の思考は崇拝するスターリンとよく似ている。内部に敵がいれば追放し、本格的に裏切れば殺害する。裏切ったら死ぬぞ、という見せしめそのものだ。(国際政治学者)