生後1カ月だった長女への虐待を疑った大阪府の児童相談所が、一時保護で親と引き離したのは違法だとして、30代の母親が府に550万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、大阪高裁であった。黒野功久裁判長は、1審に続いて一時保護の継続や面会制限を違法と判断するとともに、賠償額を1審の100万円から約130万円に増額した。
黒野裁判長は、児相が一時保護の延長を申し立てたことに伴う家裁審判で、虐待はないとして対応を見直すよう促されていたことを踏まえ、「家裁の指摘に従っていれば、一時保護の必要性が失われたと判断できた」と家裁の判断以降の一時保護を違法とした。
また、母親と長女との面会を一方的に制限したことも違法と判断し、その期間を1審より約3カ月長く認定したため、慰謝料を増額した。
判決後、母親は「私と娘が会えなかった時間は取り戻せない。児相や府にはかけがえのない時間を奪ったことをわかってほしい」と話した。
判決によると、母親は平成30年12月、長女を誤って床に落とした。長女は頭部を2カ所骨折し、病院の通告を受けた児相は令和元年8月まで長女を一時保護した。