「全ての水俣病被害者救済につながる歴史的な判決となることを願います」新潟水俣病第5次訴訟 結審

新潟水俣病の被害を訴えている人たちが国と原因企業を相手取り損害賠償などを求めている「新潟水俣病第5次訴訟」が19日、事実上結審しました。原告団長の皆川栄一さんは最後の陳述で「歴史的な判決になることを願う」と裁判長らに強く訴えました。
10年前の2013年に提訴した「新潟水俣病第5次訴訟」は国の救済策から漏れた151人が国と原因企業の昭和電工を相手取り、1人あたり880万円の損害賠償や原告全員の救済を求めています。
新潟水俣病は阿賀町にあった昭和電工 鹿瀬工場からメチル水銀が阿賀野川に流出し、汚染された魚を食べた人たちに感覚障害などの症状が出た公害病です。
この裁判では「国に責任があるのか」と「原告は新潟水俣病なのか」の2点が主な争点です。
19日の最終弁論で原告側は1つ目の争点、「国の責任」については「新潟水俣病が公式に確認される前に熊本で水俣病が発生していたことから、国は昭和電工からもメチル水銀が排水されている可能性を予見できた」と主張しました。
これに対し被告側は「新潟水俣病の公式確認を前に水俣病が発生する可能性などを認識していたことはない」と反論しました。
2つ目の争点、「原告は新潟水俣病なのか」について原告側は「阿賀野川流域の住民は自給自足の生活をしていて、食生活は川魚などが中心だった」と主張したのに対し
被告側は川魚を多く食べていたのはごく一部の住民だったという県の調査結果に触れ、「住民は水俣病を発症するほど汚染された魚を多く食べていない」などと反論し訴えの棄却を求めました。
裁判の最後、原告団長の皆川栄一さんは裁判長らに強い言葉でこう訴えました。「来年春の判決が全ての水俣病被害者救済につながる歴史的な判決となることを願います。ずっと会っていない成人した孫の顔を妻と一緒に見て『頑張ったよ』と言おうと思います」
裁判の後に開かれた原告の報告会で中村周而 弁護団長は改めて全員が救済されるような新たな制度の確立が必要だと訴えました。
新潟水俣病第5次訴訟 中村周而 弁護団長「勝つ裁判だし、勝たなきゃいけないと。水俣病の解決・(被害者の)救済の流れを止めてはいけないと思うんですよね、さらに推し進めなきゃいけない」
判決は、来年4月18日に言い渡される予定です。

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