処理水巡る中国からの嫌がらせ電話 東電「損害賠償は困難」

東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出後に中国から発信されたとみられる嫌がらせ電話が相次いでいる問題で、東電は30日、毎日新聞の取材に対し、「悪意を持って被害を与えた行為者により生じた損害を賠償するのは困難と考えている」との見解を示した。
警察庁によると、官公庁や民間事業者などから寄せられた相談は28日正午現在、31都府県警で計225件に上る。中には、官公庁や民間事業者の業務に支障が出ているケースもある。
福島市では、処理水の海洋放出が始まった24日から29日にかけて市役所や出先機関などに不審電話が1479回かかってきて、このうち98・7%に当たる1460回が中国の国際電話の国番号「86」からの発信だった。日ごとでみると、25日の405回をピークに減少していたものの、29日は再び増加し、24日以降で最多の450回に上った。
こうした電話は飲食店など幅広い民間事業者にもかかってきており、同市内のラーメン店店長、遠藤風太さん(26)は「営業に支障をきたすレベルだ」と困惑している。
木幡浩市長は29日、市内にある復興庁福島復興局を訪れ、海外からの不審電話について緊急要望を行った。この中で、個人や企業が対策を講じた場合の費用を国が負担するよう求めており、木幡市長は「このままでは市民が泣き寝入りせざるをえない。国は処理水の海洋放出に伴うものとして対応し、風評被害に対する国の本気度を示してほしい」と訴えた。【松本ゆう雅】

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