辺野古工事「不承認」訴訟、沖縄県の敗訴確定 最高裁が上告棄却

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への県内移設計画で、埋め立て工事の設計変更を承認しなかった県に国土交通相が是正指示をしたのは違法として、県が取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は4日、県側の上告を棄却した。岡正晶裁判長は「国の裁決後も知事が設計変更を承認しないのは違法」と述べた。県側敗訴とした福岡高裁那覇支部判決(3月)が確定した。裁判官5人全員一致の意見。
設計変更は辺野古沿岸部に軟弱地盤が見つかったことに伴うもので、着工には県の承認が必要。設計変更を承認する法的義務を負う形となった玉城デニー知事は判決後の記者会見で、「極めて残念だ。今後の対応は検討する」とした上で、「辺野古新基地建設の断念を求める意思は変わらない」と述べた。ただ今回の判決は、国との法廷闘争で県敗訴の流れを決定付ける意味合いがあり、知事は厳しい立場に追い込まれた。
設計変更は、防衛省沖縄防衛局が2020年4月に県に申請した。県は21年11月に「環境破壊が甚大」などとして設計変更を不承認とした。同局は行政不服審査法に基づき審査を請求し、国交相が22年4月、不承認処分を取り消す裁決をし、変更を承認するよう是正指示を出した。
小法廷は、設計変更の承認について、県が国に代わって執行する「法定受託事務」だと指摘。法定受託事務を不承認とした知事の処分を国が取り消す裁決をした場合、知事は裁決に従う義務を負うとの判断を示した。その上で「知事が裁決に従わないことが許されれば、紛争の迅速な解決が困難となる」と言及し、国交相の是正指示を適法とした高裁那覇支部判決は妥当と結論付けた。
15年以降、辺野古移設に関連して県と国の間では13件の訴訟が起こされ、結論が出るのは今回の判決が11件目。4件で県と国が訴訟を取り下げ、7件で県が敗訴した。残る2件も、争点に関して最高裁がこれまでの訴訟の中で既に法的判断を示しており、県の敗訴となる公算が大きい。
知事が確定判決に従わず設計変更を再び承認しなければ、国は、知事に代わって設計変更を承認する、地方自治法の「代執行」の手続きに入る可能性がある。松野博一官房長官は記者会見で「沖縄県において判決に沿った対応が速やかにされるものと考えている」と述べた。【遠藤浩二、比嘉洋】

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