奈良県に住む70代女性が、特殊詐欺の被害に遭いました。
実在の住宅メーカーの社名に類似した会社の社員を名乗る男に、電話で「老人ホームの入居権に当たった」などと持ちかけられ、入居希望がないと答えると、男は権利を譲るよう依頼。
翌日、有料老人ホームを運営する会社によく似た名前の施設の関係者を名乗る男から、「名義貸しは犯罪だ」と迫られるといった手口で、あわせて約9300万円をだまし取られました。
奈良県警によりますと4月25日ごろ、女性宅の固定電話に、実在する住宅メーカーとよく似た社名の「タジマ」と名乗る男から、「老人ホームの入居権が決まりました」「入居するつもりがないなら、別の人に権利を譲ってもらえないか」「入居費1000万円は支払う必要はありません」と電話がありました。
入居するつもりがない女性は、提案を了承。
男の指示に従って別の番号に電話したところ、「アライ」と名乗る男が、「名義貸しは犯罪です。警察に捕まりますよ」「入居希望者が支払い方法を間違われた。『タジマ』さんに、現金で支払うよう伝えてください」と女性に依頼しました。
その後、「タジマ」は「570万円は用意できるが、残り430万円足りない」と女性に伝え、「アライ」は「不足分を半分ずつ出して、『タジマ』さんを助けてあげましょう」と提案。
女性は提案通り、210万円をコンビニから宅配便で東京の住所に発送しました。
さらに、弁護士や金融庁職員をかたる男から連絡があり、コンビニから宅配便で東京の住所に5回にわたって現金計9100万円を発送するなど、7月末までに計9317万円をだまし取られたということです。
他府県で特殊詐欺の捜査をしている捜査員から、奈良県警に情報提供があり発覚しました。
警察は電話口でお金の話が出た場合はひとりで考えず、家族や警察などに相談するよう呼びかけています。