洋上風力発電事業を巡り、電力関連会社「日本風力開発」に有利となる国会質問の見返りに資金を受領したとして、東京地検特捜部は7日、受託収賄容疑で衆院議員、秋本真利容疑者(48)=自民党離党=を逮捕した。一方、同社の塚脇正幸前社長(64)は特捜部の任意の聴取に対し、贈賄容疑を認めており、捜査を進めている。
関係者によると、秋本容疑者は個人で馬主登録をする際に登録用の資金として平成31年3月、塚脇氏から約3千万円の貸し付けを受けたほか、組合設立前にも別に複数回、資金提供を受け、競走馬を購入するなどした。
令和3年秋には塚脇氏の知人らと競走馬を共同で保有する馬主組合を設立し、今年6月までに計約3千万円を塚脇氏から受け取った。うち1千万円は4年10月に衆院議員会館の事務所で現金で受け取っていた。
秋本容疑者は3千万円の貸し付けを受ける直前の平成31年2月、国会質問で日本風力開発が参入を目指していた青森県の洋上風力発電事業に関し「しっかり展開すべきだ」などと発言。令和4年2月には国会で洋上風力発電事業の入札の審査基準を見直すよう求めるなど、同社が有利になるような国会質問を繰り返していた。
特捜部は、秋本容疑者がこうした国会質問をするよう塚脇氏から依頼を受け、その見返りに資金提供を受けた行為が受託収賄容疑にあたると判断した。
秋本容疑者はこれまでの特捜部の任意聴取に対し、「馬主組合のための資金だった」などと資金提供の賄賂性を否定。塚脇氏は「国会質問のお礼の趣旨で資金提供した」などと供述している。
秋本容疑者は平成24年に初当選し現在4期目。国土交通政務官も務め、昨年8月に外務政務官に就任したが、特捜部の家宅捜索などを受け、今年8月4日付で辞任。同5日に自民党を離党した。塚脇氏も今月1日付で社長を辞任している。