警察庁は5日、キャリア官僚として幹部候補となる総合職の中途採用を初めて実施すると発表した。大学卒業や大学院修了後、民間企業などでの一定の職務経験がある人が対象で、年齢制限はない。階級が警視などの課長補佐級は7年以上、警部の係長級は2年以上の職務経験を求める。人数は若干名。露木康浩長官は5日の定例記者会見で「さまざまな知見や能力を生かし、困難な治安課題に立ち向かっていく志と情熱を持った方々に積極的に応募してほしい」と述べた。
警察庁によると、10~11月に応募を受け付け、12月から選考を開始する。書類審査や論文試験、面接を経て合格者を決定し、2024年4月に採用する予定。民間での職務経験開始と同じ時期に入庁した職員を「同期」とみなし、同様にキャリアアップさせる。
他の多くの中央省庁では既に中途採用を実施している。一方、多くの職員が警察官となる警察庁では、新卒採用後に警察大学校で研修を受けたり、実務経験を積むために都道府県警で地方勤務をしたりする。こうした研修などについて中途採用でどう対応するかが課題となっていたが、警察庁は「新卒時に公務員志望でなくても、転職先として希望するケースもあると聞く。研修などの期間は、民間での職務経験などを踏まえて決定したい」としている。
警察庁は最近、民間からの人材確保に力を入れている。10月には、官民人事交流制度で19~22年に警察庁に出向していた警備大手セコムの40代男性を、サイバー捜査課のサイバー捜査分析官(警視正)として2年間の任期付きで採用した。官公庁と民間企業を行き来する「リボルビングドア(回転扉)」の仕組みを警察庁が初めて取り入れたケースで、今後も多様な人材を確保していく方針という。【松本惇】