盛岡市などが主催し、10日に開催されたマラソン大会で、猛暑によるとみられる途中リタイアが相次ぎ、レース自体を途中で打ち切ったことが市への取材で分かった。当時、現地の最高気温は30度近くまで上昇。因果関係は不明だが、1人がレース中に動けなくなり、その後亡くなったことも判明している。
市の担当者は取材に「以前と大きく変わった気象のもとでの大会のあり方を実行委で検討していく」としている。
大会は「第33回啄木の里ふれあいマラソン大会2023」。例年9月上旬に開催されているが、今年は猛暑を受けて給水所に氷を多く準備。ハーフマラソン、10キロ、5キロ、3キロの4部門で前日と当日に1745人が参加を受け付けた。
市によると、今回のスタート時の気温は27度で前回より約7度高かった。「暑さ指数」の確認などによる開催可否の検討基準はなく、予定通り大会を開始。しかしリタイアの連絡が相次いだ上、レースのペースが遅くなり、交通規制の解除前に終わらない可能性も出たことから、午前11時50分に中止を決めた。この間、自分の意思で中止した人も含め、429人がゴールにたどり着くことができなかった。
亡くなったのは岩手県在住で10キロの部に参加した60代男性。午前10時15分にスタートし、1時間以上過ぎた約8・5キロ地点で転倒。そのまま動けなくなり、他の参加者に助けられて心臓マッサージやAEDなどの救命措置を受けたが意識がなく、搬送先の病院で死亡が確認された。市によると、死因については家族から「分からなかった」と連絡を受けたという。
会場に近い気象庁の観測地点、盛岡市好摩(こうま)の当日の気温はスタート時に近い午前10時で29・5度を記録し、正午には30度を超えた。【山本晋】