「57年闘い、もうすぐ終わる」 袴田事件再審、年度末までに結審か

1966年6月に静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人を殺害したとして強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(87)のやり直しの裁判(再審)で、静岡地裁(国井恒志裁判長)は12日、検察側、弁護側に対し、早ければ10月27日にも初公判を開く意向を示した。非公開で実施された三者協議後、弁護団が記者会見を開いて明らかにした。
弁護団によると、国井裁判長は2023年度末までに再審公判を結審させる見通しとともに、10月27日を含めて計12の公判期日の候補日を提示した。今後、具体的な審理計画とともに期日を正式決定していくとみられる。地裁は専門家の証人尋問についても実施する意向といい、次回の三者協議で検察側、弁護側が双方の証人を請求し、その後に採否が決まる見通し。判決期日の見込みは明らかにしなかったという。
袴田さんの姉、秀子さん(90)は審理スケジュールが具体化しつつあることについて「57年闘ってきて、もうすぐ終わりだと思うと、本当にうれしい。巌は無罪なので、いい結果が出ることを大いに期待している」と話した。
再審公判では、事件から約1年2カ月後に袴田さんが勤務するみそ製造会社のみそタンク内から見つかった「5点の衣類」が犯行着衣かが争点になる見通し。
確定判決は衣類を「犯行着衣」と認定したが、再審請求審で東京高裁は3月、長期間みそ漬けされた衣類に血痕の「赤み」が残っているのは不自然だとし、再審の開始決定を出した。
検察側は再審公判でも有罪主張を維持する方針で、衣類の色調変化について法医学者らの見解を新たな証拠として提出する意向を示している。審理ではこうした専門家の証人尋問が実施される可能性がある。【巽賢司、丘絢太】

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