発見、調査…20年かけ「新種」と判明 長崎・五島列島のカエル

長崎県五島列島の山地に生息するアカガエル科のカエルが新種だったことが、北九州市立いのちのたび博物館の江頭幸士郎学芸員(36)と長崎女子短大(長崎市)の松尾公則教授(72)の共同調査で判明した。20年がかりで調査し「ゴトウタゴガエル」(日本名)と命名した論文が、日本爬虫両棲類(はちゅうりょうせいるい)学会の学会誌に掲載された。
2003年秋、新上五島町の山中の水辺にオタマジャクシがいるのを地元の自然愛好家、江浜幸一さん(故人)が発見し、当時、高校の生物教諭だった松尾教授に知らせた。
それまで五島列島には、アカガエル科で日本に広く分布する「タゴガエル」が生息していると考えられていたが、同種のオタマジャクシは春に生まれるため、疑問を感じて調査を始めた。
松尾教授が長崎市などの高校に勤務していたため調査が中断した時期もあったが、松尾教授が高校教諭を退職した10年から現地調査を本格化。五島列島の山中でタゴガエルとは異なる鳴き声や卵塊を確認した。11年にはタゴガエルの専門家で京都大大学院生だった江頭さんも加わり調査を重ねた。
その結果、ゴトウタゴガエルは体長約4センチで雌は雄よりも一回り大きく、五島列島の中でも福江島▽奈留島▽若松島▽中通島▽野崎島――のみに生息することが分かった。タゴガエルと見た目が酷似しているが、DNA鑑定で全く異なる種であることが判明した。
世界共通の学名は「Rana matsuoi Eto et Matsui,2023」。論文を執筆し学名を付けた江頭さんは「島の固有種として大事にしてほしい」と話した。松尾教授は「自分の名前を学名につけてもらい感無量。長年の研究が報われた」と喜びを語った。【松尾雅也】

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